2013年02月04日 14:00 〜 15:30 10階ホール
研究会「サイバーセキュリティ」「日本と米、英、インドなどとの協力関係の現状」松原実穂子 サイバーセキュリティ・アナリスト(パシフィックフォーラムCSIS客員研究員)

会見メモ

研究会「サイバーセキュリティ」の第二回目。「今なぜサイバーセキュリティと国際協力か」のテーマで、パシフィックフォーラムCSIS客員研究員の松原実穂子・サイバーセキュリティアナリストが話し、記者の質問に答えた。

司会 日本記者クラブ企画委員 杉田弘毅(共同通信)


会見リポート

サイバー分野の協力 日米同盟の柱に

津屋 尚 (NHK解説委員)

スマートフォンをはじめ世界で標準化されたシステムは、人々にかつてない便利さを提供したが、同時にボーダーレスなサイバー攻撃という試練も与えることとなった。

松原実穂子氏は「攻撃側は最も弱いところを突いてくる」と警告した。その被害は個人から企業、そして安全保障分野などにも及ぶ。背後に、国家や犯罪組織の存在も指摘されるものもあり、対抗する側も・ボーダーレス・な協力が必要になってくる。

サイバー攻撃に対して脆弱なのは、日本も例外ではない。松原氏は、同じ価値観を共有する国との国際協力の必要性を説いた。その筆頭はアメリカだ。「世界第1と第3の経済大国である日米は、最先端技術など守るべき情報が最も多い同盟国同士であり、サイバーセキュリティーは同盟の柱だ」と松原氏は強調する。

そのアメリカでは1991年、サイバー専門家のウィン・シュワルトウ氏が議会での演説で「電子的パールハーバーがもうじき起こる」と警告を発していたという。それから21年がたった昨年12月、パネッタ国防長官は「サイバー・パールハーバー」という表現を使い、重要インフラへの同時攻撃への懸念を表明した。

日米は昨年4月、オバマ・野田会談後の共同声明で、両国の首脳レベルでは初めて、サイバーセキュリティーの協力の重要性を確認した。政府レベルや企業レベルなど様々な形での協力が期待されるが、注目される分野のひとつが、安全保障面の協力だ。今の日米安全保障条約は、サイバー空間への対応についての規定はない。日米ガイドラインの見直し作業の中でも議論されることになろう。

この分野の協力には迅速な情報共有が欠かせないが、中には、自国の脆弱性にも関わる機微に触れる情報がある。これをどこまで共有できるのか。ここでも日米の信頼関係が問われることになる。


ゲスト / Guest

  • 松原実穂子 / Mihoko Matsubara

    日本 / Japan

    サイバーセキュリティ・アナリスト(パシフィックフォーラムCSIS客員研究員) / Cyber Security Analyst, Non-resident SPF Fellow, Pacific Forum CSIS

研究テーマ:サイバーセキュリティ

研究会回数:0

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