会見リポート
2013年01月09日
13:00 〜 14:30
10階ホール
研究会「2013年 経済見通し」「中国経済」柯隆 富士通総研経済研究所主席研究員
会見メモ
新年恒例の日本記者クラブ研究会「経済見通し」の第一回目。富士通総研経済研究所の柯隆・主席研究員が「中国経済」について話し、記者の質問に答えた。
司会 日本記者クラブ企画委員 実哲也(日経新聞)
富士通総研 柯隆氏のページ
会見リポート
中国経済 成長率は8・5%前後
安部 順一 (読売新聞調査研究本部主任研究員)
中国の経済成長率は2012年に7・8%程度と減速したが、「10年(10・4%)、11年(9・3%)に比べ低いが、世界的にみて高い」と話し、依然高成長だと評価した。13年は「8・5%前後」と予測する。世界銀行の推計した中国の潜在成長率が9%近いことを挙げ、「楽観論ではない。中国経済はもとの道に戻りつつある」と強調した。
高成長を支えるのは、高い貯蓄率とものづくり力だ。「中国は世界の工場で、中国製品は嫌と買わなければ、生活できない」と指摘した。
一方、先行きについては、世銀と中国国務院発展研究センターのリポート「2030年の中国」で、中国の労働人口が2016~20年に減少する見通しが示されたことを受け、「あと3~5年成長し、それから中成長、低成長に変わっていくのが妥当」と高成長の限界に言及した。
さらに、胡錦濤政権の10年間は、中国の経済構造、産業構造が改善されず、「失われた10年」だったとの認識を示した。ただ、「だから、習近平政権は努力すれば改善する余地がある」と期待もにじませた。
会場の注目が集まったのは、今の中国の体制が「近い将来」にリスクを迎えるのでは、との質問だ。
「危ない(質問)ですね」と苦笑しながら、「私も同じ感覚だ」と言い切り、党内民主主義、法に則ったマスコミ規制、司法の独立性の3つが確保できなければ、「近い将来、5~10年のうちに大きな節目を迎えるのではないか」と予想した。
どう改革していくのか。これから始まる習近平政権の10年間は、まさに激動期となりそうである。
ゲスト / Guest
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柯隆 / Ke Long
富士通総研経済研究所主席研究員 / Senior Fellow, Economic Reaserch Center, Fujitsu Reseach Institute
研究テーマ:2013年経済見通し
研究会回数:0