会見リポート
2012年12月20日
12:00 〜 13:30
10階ホール
昼食会 丹羽宇一郎 前駐中国大使
会見メモ
前中国大使の丹羽宇一郎氏が、尖閣問題をはじめとする日中関係の今後について話し、記者の質問に答えた。
司会・代表質問 日本記者クラブ企画委員 星浩(朝日新聞)
会見リポート
「日中友好 信」
森 保裕 (共同通信論説委員)
「日中両国が歩む道は友好以外にない。それが国民の利益だ」。駐中国大使という重職から解放されたばかりの丹羽宇一郎氏(73)は、少し表情を緩ませながらも、力強い口調で持論を展開した。
元伊藤忠商事社長。民主党政権の政治主導で、民間出身者として初の駐中国大使を2年半務めた。
2010年9月の中国漁船衝突事件、12年9月の尖閣諸島国有化…。任期中は日中関係が冷え込み、今も修復の糸口は見つかっていない。
「日中関係は今までとは違う段階に入った」。丹羽氏は尖閣で対立する両国関係をこう位置付けながら「争いの存在を認め、外交を通じて話し合うことだ」と訴えた。
海難救助、漁業、海洋資源、青少年交流…。日中関係強化のために協議すべきテーマを列挙しながら「尖閣だけで全部ストップとは…」と悔しさをにじませる。12年は日中国交正常化40周年だったが、尖閣国有化後、ほとんどの交流計画がキャンセルされた。
「日本国民の幸せにつながらないなら、合点がいかない」と野田政権の尖閣国有化を鋭く批判。
尖閣の領有権について「黒白をつけようとするのはやめるべきだ」「臨界点を超えて戦争にならないよう日中関係をきちんとコントロールしていかなければならない」と語る。大使経験に裏打ちされた言葉は重い。
任期中、中国の33省・自治区・直轄市のうち27地域を日本企業を連れて視察し、現場主義を貫いた。
12年8月には、乗っていた公用車が反日分子に襲撃されたが「普通の中国国民は良い人ばかり」と中国人への温かいまなざしは変わらない。
昼食会にあたり「日中友好 信」と揮毫した。信念、信頼…。いや、信使(まことの使者)の「信」であろうか。
ゲスト / Guest
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丹羽宇一郎 / Uichiro Niwa
日本 / Japan
前駐中国大使 / Former Ambassador to China