2012年12月14日 14:00 〜 15:30 宴会場(9階)
研究会「領土問題」⑤ 坂元茂樹 神戸大学大学院教授

会見メモ

神戸大学大学院の坂元茂樹教授が、「領土問題と国際法」のテーマで話し、記者の質問に答えた。

司会 日本記者クラブ企画委員 山岡邦彦(読売新聞)


会見リポート

日本の領有権の根拠国際社会へ発信を

飯島 一孝 (毎日新聞出身)

日本が抱える中国、韓国との領有権紛争はますますエスカレートし、解決のめどが立っていない。このため国際司法裁判所(ICJ、オランダ・ハーグに本部)による解決を目指すべきとの議論が目立っているが、国際法の専門知識と国際舞台での経験を踏まえ「必ずしも現実的な解決策とはいえない」と述べ、過剰な期待を戒めた。


ICJに訴えるには当事者双方が紛争の存在を認めていることが前提となる。尖閣諸島、竹島を巡る紛争では、実効支配している日本、韓国とも紛争の存在を認めていないので、どちらか一方が訴えても解決は難しいからだ。


2つ目の問題点は、韓国が竹島の問題を日本による植民地支配の問題、つまり歴史認識の問題ととらえていることだ。これが問題の解決を一層難しくしている。韓国側の主張に対し「歴史認識が法的議論を規定すべきだという考えに立つことはできない。仮に両者が同一でなければならないというなら、法的議論が成立する余地がなくなってしまう」と反論した。中国も最近、敗戦国・日本が戦勝国・中国に挑戦していると主張しているが、これを「歴史問題にすり替えようとしている」と批判。日本政府に、中韓の歴史問題戦術に毅然として反論すべきだと提言した。


3つ目の問題点は、中国が尖閣諸島周辺に船舶だけでなく航空機まで投入し、領海、領空侵犯を行っている点だ。「この行為は領有権主張の実績作りにほかならない」と言い切り、日本政府に対し、日本の領有権の根拠を国際社会にしっかり発信していく必要があると述べた。


最後に「日中双方は事態をこれ以上悪化させる措置を互いに取らず、平和的に解決すると約束することが重要だ」と強調、新政権に事態打開への期待を託した。



ゲスト / Guest

  • 坂元茂樹 / SAKAMOTO Shigeki

    日本 / Japan

    神戸大学大学院教授 / Professor, Kobe University, School of Law

研究テーマ:領土問題

研究会回数:0

ページのTOPへ