2012年12月04日 13:00 〜 14:30 宴会場(9階)
駒野欽一 前駐イラン大使 記者会見

会見メモ

前駐イラン大使の駒野欽一氏が、イランの国内情勢や核開発、米国、イスラエルとの関係などについて話し、記者の質問に答えた。

質問 日本記者クラブ企画委員 杉田弘毅(共同通信)


会見リポート

幻想的で論理的なイラン人

杉田 弘毅 (企画委員 共同通信編集委員)

「イランは大変誤解されている」。3回目の駐在、ペルシャ語を駆使してイラン人と接し続けた結論だ。イスラム・テロ組織を支援し、国際社会に背を向け、核兵器保有にひた走る。そんなイメージは「あまりに一方的な見方」と言う。

23年ぶりのイラン勤務では驚きの連続だった。高等教育への力の入れ方、欧米への留学組の多さ、世界の高等研究機関にいるイラン人の多さ、IT力、多彩なマスコミ論調、外国旅行を楽しむ市民の多さなどなど。


それにしても米国との妥協を拒むイラン人は、日本のように米国との一体化を国益と考えがちな国民には理解できない。「イラン人は、内面は幻想的で超現実的だが、外面は極めて論理的である」。20年以上も前にテヘランで特派員生活を送った私も同感だ。


さて、世界が注視する核問題はどうなるのだろうか。厳しい経済制裁は「効いている」。制裁が続く限りは、イランが抱える経済、社会問題に対処できないから、「妥協もないわけではない」となる。「イラン国内で妥協派の存在を示す」観測気球とみられる報道もあるという。


一方でイラン人原子力科学者が次々と殺害され、複数の原子力施設へのサイバー攻撃もあった。そして今回の経済制裁を「大国が仕掛けてきた戦争」と位置付け、妥協が難しいのも事実だ。


対米関係、核問題について決断するのは自分だと宣言する最高指導者ハメネイ師は、核兵器を保有しないという立場だ。革命の父である故ホメイニ師から引き継いだ原則である。もちろん国の安全が脅かされるなど状況が激変すれば、変更するだろうが、「最高指導者の出した命令を覆すのは信じられない」という判断を語った。


ゲスト / Guest

  • 駒野欽一 / Kinichi Komano

    前駐イラン大使 / Former Ambassador of Japan to Iran

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