2012年07月06日 10:30 〜 12:00 10階ホール
シリーズ企画「3.11大震災」黒川清 国会事故調査委員会委員長

会見メモ

国会東京電力福島原子力発電所事故調査委員会は7月5日、衆参両院議長に最終報告書を提出した。黒川清委員長が、これまでの活動について話し、記者の質問に答えた。会見には宇田左近・同委員会事務局調査統括も同席し最終報告書について説明した。

司会 日本記者クラブ企画委員 倉重篤郎(毎日新聞)

国会事故調のホームページ

http://naiic.go.jp/


会見リポート

1000人以上から900時間聴取

倉重 篤郎 (企画委員 毎日新聞論説委員長)

前日に報告書をまとめたばかりの福島原発事故国会調査委員会(事故調)から黒川委員長と宇田調査委事務局調査統括が、報告書の概略と意義について会見した。


意義について黒川氏は以下の点を強調した。この種の世界的大事故に対して欧米では慣行化しているものの日本では行われたことのない国会での独立調査委設置が今回初めて成就した。日本の堕ちた信頼回復を図るため極力透明度の高い調査を心がけ、政府要人、東電首脳ら重要人物のヒアリングは20回分、すべて公開の場で行いその模様をネットに流し、2回目以降の分については英語の同時通訳を入れた。非公開含め1000人以上の関係者から900時間聴取、内部文書、資料を精査しファクツ(事実)に基づいた報告ができた。この間、政治家から一切の介入はなかった。


中身については、宇田氏がパワーポイントで説明した。なぜ報告書が今回の事故を「人災」と認定したか、については、3・11以前の東電と規制当局が津波、地震、シビアアクシデント対策で事前に備えるチャンスが複数回あったにもかかわらず、原発の稼働効率や訴訟配慮のため、ことごとく先送りしてきたことを、いくつかの実例をあげて論証した。


会場からは多く手が挙がった。いわゆる全面撤退問題については、報告書が、現場と官邸との間に入った東電社長の曖昧な対応が勘違いの元になった、と結論付けたことに対し、2人が根拠を質し、関心の強さを改めて印象づけた。


すべての質問に的確な答えが返ってきたわけではない。ただ、憲政史上初の本格的な国会調査委が作られ、行政監視を強化する、との提言を出したことは評価したい。デモクラシーのプロセスとして極めて重要だった、とも言える。提言がどう生かされるのか、これまたプロセスの一環として追っていきたい。



ゲスト / Guest

  • 黒川清 / Kiyoshi Kurokawa

    日本 / Japan

    国会東京電力福島原子力発電所事故調査委員会委員長 / Chairman, The National Diet of Japan Fukushima Nuclear Accident Independent Investigation Commission

研究テーマ:シリーズ企画「3.11大震災」

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