2012年06月13日 12:30 〜 14:00 10階ホール
昼食会 田中明彦 JICA理事長 

会見メモ

2012年4月に就任した国際協力機構(JICA)の田中明彦・理事長が「元気の出る援助とは何か」と題して話し、記者の質問に答えた。


司会 日本記者クラブ企画委員長 小孫茂(日経新聞)

代表質問 日本記者クラブ企画委員 星浩(朝日新聞)


配布資料

http://www.jnpc.or.jp/files/2012/06/b8a7e6e618c2f12f68b8ec29ec7e22cf.pdf


JICAのホームページ

http://www.jica.go.jp/index.html


会見リポート

元気のでる援助をします

千野 境子 (産経新聞特別記者)

就任から約2カ月、会見ではまず戦後賠償に始まった日本のこれまでの援助政策を概観した。簡潔に整理、凝縮された内容はまさに国際政治学者の講義のようだった。


ポイントは90年代からの20年間はODA(政府開発援助)が停滞の時代と同時に「反省、批判、再定義、組織改編」の時でもあったこと、冷戦終結や9・11テロを受け世界システムが変化し、日本のODAも変化せざるをえなかったことなどだ。その上で「インフラと成長、人材育成重視の日本のODAは大筋において間違っていない」と総括した。


新理事長の方針は、JICAが進める①社会全体に行き渡る包摂的成長②人間の安全保障③地球規模課題④アフリカ開発に加えて「元気のでる援助をします」。クラブへの色紙にもそう揮毫した。


「元気のでる援助とは①平和を構築する②市場が拡大する③知識を高める④友情の輪が広がる援助です。JICAが頑張ることで、世界を元気にし日本も元気になります」


顔の見える援助に関連し、「援助もコミュニケーションの一つ」との言葉が印象に残った。「金をあげるだけ、物を作っておしまいでは役を果たしていない」とも。同感だ。


援助分野でも存在感を増す中国と新たに研究機関同士の情報交換で合意した。ただ「現場での協力は今の段階ではまだ」と慎重だ。一部に財力のある中国との補完関係を期待する向きもあるが、開かれた国益の実現であるODAの〝日中合作〟には時間と熟慮が必要と筆者も思う。


司会者が紹介で「あの緒方さんの」と、あのに力を入れた。そう、あの後任は重い。しかし明快な語り口と静かな自信に、日本のODAの元気な担い手の登場を感じた出席者は少なくなかったに違いない。



ゲスト / Guest

  • 田中明彦 / Akihiko Tanaka

    JICA理事長 / President, JICA

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