2012年05月25日 13:00 〜 14:30 10階ホール
ブッカー ヒューマン・ライツ・ウォッチ緊急対応部門ディレクター 記者会見

会見メモ

国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチのピーター・ブッカー氏が、紛争地における人道危機の調査と情報発信の手法などについて話し、記者の質問に答えた。


※動画冒頭の映像は、ヒューマン・ライツ・ウォッチから提供いただき挿入しました。

下記URLからも見ることができます。

http://www.hrw.org/about


司会 瀬川至朗 日本記者クラブ企画委員

通訳 森岡幹予 サイマル・インターナショナル


Human Rights Watchのホームページ

http://www.hrw.org/ja


会見リポート

紛争地からの情報発信を担う

瀬川 至朗 (企画委員 毎日新聞出身)

世界の紛争地での民間人に対する人権侵害をどう調査し、情報発信していくのか。「紛争地からの情報発信」が記者会見の主テーマだった。


ブッカー氏は、国際人権NGO、ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)の緊急対応部門の責任者として、リビアやシリアをはじめ、多くの紛争の現地に足を運んできた調査のエキスパートである。


NGOの調査というと日本のマスメディアは、その信頼性について色めがねで見る向きがまだ多い。しかし、会見を聞いて、その手法はジャーナリズムにおける調査報道と共通し、事実の立証に力点を置いていることがわかった。


紛争地で信頼できる情報を取得するための基本は何だろうか。ブッカー氏によると、関係者に対する詳細な聞き取り調査である。「被害者、目撃者、政府関係者らから話を聞き、誰が責任者なのか、誰が被害者なのかを把握していく。大勢の人のインタビューにより、虚偽発言も確認できる」。ただ、「それでも事実関係の再構築は難しい」。聞き取り調査と同時にHRWが力を入れているのが先端技術の活用である。頭蓋骨の科学調査や人工衛星の撮影画像などを利用する。


欧米の大手メディアはHRWと強い関係を築いているようだ。「ニューヨークタイムズ、CNN、BBCには紛争地に入るときに必ず電話をしてくる記者がいる。フェイスブックには紛争地の特派員約2千人が参加している」。記者には、紛争地情勢のブリーフィングやコンタクトポイントなどを提供する。


会見で強調したのは「日本のメディアとより強い関係を持ちたい」という点だった。基本的に英語という制約のためか、日本人記者はなかなかHRWになじめないでいる。当事者の宣伝情報に翻弄されやすい紛争地報道では、HRWのような国際人権NGOの情報はもっと重視されるべきだと感じた。



ゲスト / Guest

  • ピーター・ブッカー / Peter Bouckaert

    ヒューマン・ライツ・ウォッチ緊急対応部門ディレクター / Director, Emergencies Division Human Rights Watch

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