2012年05月28日 13:30 〜 14:30 10階ホール
シリーズ企画「3・11大震災」原発再稼働問題 山田啓二 京都府知事

会見メモ

京都府の山田啓二知事が原発の再稼働問題についての考えを述べ、記者の質問に答えた。
会見で使用した資料
http://www.jnpc.or.jp/files/2012/05/994d7ce15d284a04bb8a5fda3198efbb.pdf

司会 日本記者クラブ企画委員 山﨑登(NHK)


京都府のホームページ

http://www.pref.kyoto.jp/


会見リポート

もう観客席にはいられない

山本 洋子 (中国新聞東京支社編集部)

関西電力大飯原発3、4号機の再稼働は「拙速」として4月、政府に共同提言を突きつけた京都府と滋賀県。一方、地元、福井県の西川一誠知事が「(消費地で)電気が必要ないなら無理して原発を動かす必要はない。われわれは関西圏の同意を待っているわけではない」と反発するという渦中の講演だった。


国が4月に示した再稼働の「判断基準」は「安全基準」ではない─。山田知事の主張は明快だ。安全規制を司る原子力安全委員会の決定を経ておらず、安全基準として手続き上の正当性がない「政治の産物」というわけだ。原子力規制庁の発足が見通せない中での苦肉の策のほころびを突く、元官僚らしい指摘だろう。


再稼働に「待った」をかけた根拠は府民への説明責任。京都府は大飯原発の30㌔圏内に約6万8千人の府民を抱える。事故があれば広範囲に被害が及ぶとして京都を「被害地元」と称し「福井県の問題というのは無理がある」とまで言い切った。


「地元同意」の定義もあいまいなまま、国が地方に丸投げしたボールの波紋は大きい。福井県の西川知事が「(関西は今まで)観客席でグラウンドを眺めていた」と批判した発言を引き、「(原発問題に)触れないようにしてきた過去は反省する」としながら「いつまでも観客席にはいられない」とした山田知事。消費地から離れた地域に原発が集中立地する構図は大飯に限らない。消費地が「グラウンド」に立つなら、一過性の安全論議だけでなく、過去の経緯を踏まえた立地県との対話も重要だろう。広域避難を起点にした連携の動きも広がっている。


5月30日、京都、滋賀を含む関西広域連合は大飯原発の再稼働を事実上容認する声明を発表した。一転して姿勢を軟化させた「政治色」が際立つ。ここにも重大な説明責任が課せられているのは言うまでもない。



ゲスト / Guest

  • 山田啓二 / Keiji Yamada

    日本 / Japan

    京都府知事 / Governor, Kyoto Prefecture

研究テーマ:シリーズ企画「3.11大震災」

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