2012年05月11日 15:00 〜 16:30 10階ホール
シリーズ企画「3.11大震災」エネルギー政策 橘川武郎 一橋大学大学院教授

会見メモ

司会 日本記者クラブ企画委員 小此木潔(朝日新聞)

日本のエネルギー政策の見直しについて話し、記者の質問に答えた。

使用した資料

http://www.jnpc.or.jp/files/2012/05/d718200ef3337613dfaa8bdca32eb5cb.pdf

一橋大学の橘川教授のページ

https://hri.ad.hit-u.ac.jp/html/101_profile_ja.html


会見リポート

原発 リアルでポジティブなたたみ方

小此木 潔 (企画委員 朝日新聞編集委員)


「リアルでポジティブな原発のたたみ方」を基本路線としつつ、2030年にも原発による発電の比率を20%程度維持することになる、という見通しを近著や経産省の審議会などで語ってきた。


会見では、日本の電力の歴史を振り返り、原発による「石油危機から21世紀半ばまでの人類への貢献」を認めたうえで、「使用済み核燃料の処理問題」に答えが出そうにない以上、原発を人類全体にとって今世紀半ばぐらいまでの過渡的なエネルギーと考えて、たたんでいくべきだと説明した。


ただし、「反原発の人が建設的な対案を示すことに成功してこなかった」と批判。原発をいつゼロにできるかというと、「2050年ごろ」になりそうだという。


将来は期待できる再生可能エネルギーがどれくらいの電力をまかなえるかをもとに、「引き算」の論理で原発依存を考えれば、「安易に原発という選択肢を捨て去るべきではない」ことになるからだ。


とはいえ、それまでの「中継ぎ」役である火力発電にも、意外な実力がある、と橘川さんは言った。ファンである阪神タイガースの中継ぎ投手名を挙げてのたとえ話は、会場の笑いを誘った。


なるほどと思った私は、中継ぎのがんばりが、「引き算」の結果に影響し、原発が2030年の時点でもっと縮小する余地もあるのではないですか、とたずねてみた。


その答えは、「天然ガスのウエートがもっと増えれば」可能性はある、というものだった。「私は引き算論なので、別に原発20%にこだわっているわけではない。場合によってはこれが15になり、10になるという世界もあり得る」と語る橘川さんは、回答のスタイルにも「リアルでポジティブ」を貫こうとする姿勢が鮮明だった。



ゲスト / Guest

  • 橘川武郎 / Takeo Kikkawa

    一橋大学大学院教授 / Professor, Hitotsubashi University

研究テーマ:シリーズ企画「3.11大震災」

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