2012年05月07日 12:30 〜 14:00 10階ホール
昼食会 片桐裕 警察庁長官

会見メモ

2011年10月に警察庁に就任した片桐裕長官が、日本警察当面の諸課題として「治安情勢」、「災害対策」、「暴力団対策」、「サイバー犯罪対策」、「捜査手法、取調べの高度化」について述べ、記者の質問に答えた。


司会 日本記者クラブ理事 河野俊史(毎日新聞)

代表質問 日本記者クラブ企画委員 西川孝純(共同通信)


使用した資料

http://www.jnpc.or.jp/files/2012/05/cc78e6d76c20f46f4cac0266e8cc39cf.pdf


警察庁のホームページ

http://www.npa.go.jp/


会見リポート

「白鳥芦花に入る」の精神

伊藤 正志 (毎日新聞論説委員)

長崎ストーカー殺人事件で、千葉県警が被害届を先送りし、慰安旅行に出かけていた問題について2度目の検証結果を公表して間もない時期の昼食会だった。そんなわけで、「昨年暮れから不適切事案が続き、ご遺族には重ねて申し訳ないことをしました」と謝罪で始まった。


桶川ストーカー事件なども引き合いに出し、「警察改革の中で国民の安全を守るための相談業務の改善を進めたが…。緊張感が現場で薄れてきた」と反省の弁を語った。

 警察の仕事の王道は事件捜査と思う人は多いだろう。だが、それは違うと言う。「被害をどう未然に防ぐのかという着眼がないといけない。捜査も予防のためにある。その意味でも甘さがあった」


落ち着いた語り口で、派手なパフォーマンスは嫌うという印象だ。記帳した座右の銘は「白鳥芦花に入る」だ。作家、下村湖人の「次郎物語」に出てくる言葉だそうだ。


白鳥が一面に咲く芦花の中に舞い込んだものの、姿は見えない。しかし、芦の花がそよいでいる光景は残っている。善行はそれをした人の名を残さないといった意味合いか。「誰がやったのかではなく、何をやったのかが大切。公人のあるべき姿であり、戒めとしている」と述べた。


刑法犯の認知件数は10年前から減少を続けている。治安が特に悪い現状ではないが、暴力団排除条例をきっかけとした暴力団による市民への攻撃など重点対策も。「暴力団と手を切ろうとする人の保護はきちんとやらねばならない」と強調した。


質疑では身近な交番が話題に。交番に行っても警察官がいないことが多いと指摘されると「対策はできていると思ったんだが」と首をひねりながらも「問題意識はあるので、空き交番をなくすようしっかり努力していきたい」と約束した。



ゲスト / Guest

  • 片桐裕 / Yutaka Katagiri

    日本 / Japan

    警察庁長官 / Commissioner General , National Police Agency

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