2012年04月25日 13:00 〜 14:30 10階ホール
研究会「権力移行期の世界 6 アメリカ」 久保文明 東京大学教授

会見メモ

「オバマ政権の評価と2012年大統領選挙」と題して、候補者の政策や争点などを分析し、記者の質問に答えた。


司会 杉尾秀哉 日本記者クラブ企画委員(TBSテレビ)


久保文明研究室のページ

http://www.kubo.j.u-tokyo.ac.jp/


会見リポート

接戦か ロムニーは手ごわい

飯田 達人 (読売新聞国際部)

バラク・オバマ大統領とミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事の対決が決まり、半年後に迫った米大統領選。


「オバマにとって相当厳しい選挙になる。ロムニーは思ったより手ごわい。接戦になるだろう」


久保教授はこう予測する。


前回2008年の選挙は、共和党にとって最悪の条件がそろっていた。イラク戦争の失敗、サブプライムローン問題、金融危機が襲い、ブッシュ大統領の支持率は20%台。一方、民主党の新星・オバマは「1つのアメリカ」を掲げて、巧みなスピーチで熱狂的な支持を広げた。


だが、オバマ対マケインの得票率は53%対46%と意外に僅差だった。


4年間たって、依然として経済の状況はよくない。「共和党は『民主党の失政だ』と訴えるだけで、おそらく48%は取るだろう。一方、オバマが50%以上取るのは相当難しいのではないか」


共和党の候補者選びで「脆弱な先頭走者」と言われたロムニーだったが、候補に決まって以降、世論調査で高感度は急速に上がっている。モルモン教徒である点も、大きくマイナスになっているわけではない。次の注目点は副大統領候補選びだが、「(サラ・ペイリンを選んだ)マケインのような大ばくちを打つ可能性は低く、手堅い選択をするだろう」と見る。


一方、オバマ大統領は4年前のように「夢」を語ってももはや誰も聞いてくれない。実績に焦点をあてても分が悪いので、超富裕者への増税も一切反対というロムニーの米国とは別の「将来のビジョン」を示すことで戦うだろうと予測する。


今後の最大の注目点はやはり経済の動向だという。現在8・2%の失業率が秋にかけてさらに悪化するようだと、オバマにとっては致命的。改善すれば再選の可能性が膨らむ。



ゲスト / Guest

  • 久保文明 / Fumiaki Kubo

    日本 / Japan

    東京大学教授 / Ph.D.The University of Tokyo

研究テーマ:権力移行期の世界

研究会回数:0

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