2012年04月18日 15:45 〜 17:00 10階ホール
シリーズ企画「3.11大震災」原発再稼働問題 荒井聡 民主党原発事故収束対策プロジェクトチーム座長

会見メモ

4月10日に発表した「原発再稼働問題に関する緊急提言」や日本のエネルギー政策について話した。

司会 日本記者クラブ企画委員 川村晃司(テレビ朝日)


使用した資料まとめ

http://www.jnpc.or.jp/files/2012/04/9d830b78f12ed2b8b5ff631bf50e950d.pdf


民主党原発事故収束対策プロジェクトチームのホームページ

http://www.dpj-genpatsu-pt.com/index.html


会見リポート

原発を再稼動するなら東北電力から

若杉 敏也 (日本経済新聞社産業地域研究所)

大災害に国のトップとして対応した菅直人前首相が昨年8月に辞任を表明した理由は何か──。「脱原発を表明したため政権から引きずりおろされた」との見方がある。例えば、菅氏へのインタビューを交えたドイツの公共放送ZDFによる番組「フクシマのうそ」がこの説を採る。


この話の真偽はわからない。ただ、野田政権が関西電力大飯原発の再稼動を地元に要請してから激化した政府・与党内での意見対立を見ると、政権の意思決定プロセスにつきまとう不透明感がとても気になる。再稼動が必要だとする説明は国民を十分に説得する材料が整っていないと思われるのに、担当閣僚による前のめりの姿勢に強引さが感じられるからだ。


民主党原発収束対策プロジェクトチーム(PT)の荒井聡座長は「再稼動は時期尚早」との立場を貫く。再稼動決定には、国会事故調査委員会などの報告を踏まえた原因の究明や原子力規制庁の新設といった安全確保に必要な5条件を満たすことが不可欠だと会見で主張した。当然、今の時点では「再稼動をする判断は非常に難しい」と話す。


そして、再稼動に踏み切るならば大飯原発を持っている関西電力ではなく「東北電力からというのが私の持論だ」と続けた。「一番被災を受けた人たちが、安定したコストの安い電力が東北の復興のためにどうしても必要だという気持ちになったときでなければ」という理由からだ。


東北電力が設置した女川原発は、当時の副社長が周囲の反対を押し切って基準を大幅に上回る15メートルの高台に建設した。そのおかげで津波をぎりぎり免れることができた。こうした逸話を紹介しつつ自説を展開する荒井氏の言葉には説得力が感じられた。


電力不足が懸念される夏は目前だ。政府・与党内の議論が速やかにまとまることを期待する。



ゲスト / Guest

  • 荒井聡 / Satoshi Arai

    日本 / Japan

    民主党原発事故収束対策プロジェクトチーム座長

研究テーマ:シリーズ企画「3.11大震災」

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