2012年04月13日 15:00 〜 16:30 10階ホール
研究会「権力移行期の世界」「韓国」 李鍾元 早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授

会見メモ

韓国総選挙と朝鮮半島情勢について話した。北朝鮮のミサイル発射についても解説した。


司会 日本記者クラブ企画委員 川村晃司(テレビ朝日)


早稲田大学大学院アジア太平洋研究科 教員紹介のページ

http://www.waseda.jp/gsaps/faculty/lee_jp.html


会見リポート

韓国総選挙 勝者は朴槿恵氏か

山本 勇二 (東京新聞論説委員)

韓国総選挙で与党セヌリ党が過半数を制したが、野党・民主統合党も改選前より5割以上増やして善戦した。では勝者は誰なのか。


「セヌリ党の選挙を仕切った朴槿恵・非常対策委員長」と李教授は語る。朴氏は福祉充実など中道の政策を掲げて李明博政権との差別化を図り、専門分野を持つ新人候補を発掘して、劣勢との予想を覆した。


民主統合党は事前予測がよすぎたので油断した。指導部は盧武鉉前大統領の側近たちで、候補者は古参の現職から市民運動家の新人まで広がった。まとまりがなく政策面でも不安だという印象を持たれたようだ。


セヌリ党は地方で圧勝したが、ソウル、京畿道の首都圏では敗北した。他政党も含めれば、保守系、革新系の全国の得票率は50%前後で拮抗している。緊張感を維持したまま、8カ月後の大統領選を迎える。


李明博大統領は積極的な外交と海外市場の開拓で日本では評価が高いが、総選挙では野党が「失政を審判する」と訴え、与党も大統領に近い候補者を次々に公認から外した。「新自由主義に近い政策により、大企業だけが成長して社会の格差が拡大した。国民の政権不信は深い」と李教授は分析する。


次期大統領を目指す朴氏は有利になったが、世論調査で支持率はいつも50%に届かない。軍事政権時代の朴正熙大統領の長女で、国民には強い支持がある半面、「保守、既得権階層の代弁者だ」と拒否感も持つ人も多い。


今回、20代の投票率は20%台にとどまった。ネット空間で主張はするが、選挙には興味はないという若者たち。彼らが投票所に向かえば、韓国政治の流れを左右するだろう。


李教授は北朝鮮のミサイル発射についても見解を示したが、紙幅が尽きた。「核実験の強行は北朝鮮にとっても大変な重荷になる」と述べたことだけを紹介したい。



ゲスト / Guest

  • 李鍾元 / LEE, Jong Won

    早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授 / Professor, Graduate School of Asia Pacific Studies, Waseda University

研究テーマ:シリーズ研究会「権力移行期の世界」

研究会回数:0

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