2012年03月27日 13:30 〜 14:30 宴会場(9階)
シリーズ企画「3.11大震災」 和合亮一 詩人

会見メモ

司会 日本記者クラブ企画委員 瀬口晴義(東京新聞)


和合亮一さんのTwitterアカウント

@wago2828


和合亮一さんが代表を務めるプロジェクトFUKUSHIMA!のホームページ

http://www.pj-fukushima.jp/


会見リポート

福島から「言葉の橋」を

冠木 雅夫 (毎日新聞専門編集委員)

入場し着席した和合さんは、知り合いとみられる何人かと会釈してほほえんだ。なごやかな雰囲気で会見が始まる。高校の国語教師らしいのか、らしくないのか。一つ一つ言葉を選び穏やかな口調で話が進んでいく。流れを変えたのが自作の詩の朗読だった。一際大きな声が響く。


肌がとられていく

剥がれていく

激しい寒気の真冬に

除染されて 樹皮を削られた私たち


自身が訪れた福島の果樹園の姿だ。最新刊『ふたたびの春に』(祥伝社)所収の「苦難」という詩である。果樹農家を訪れて、リンゴやモモの幹の皮を剥ぎ周囲の土を掘る除染作業を知る。身を削られる樹木の叫びは和合さんのものでもある。


すでに中原中也賞を受賞したいっぱしの現代詩人だった。震災後のツイッターのつぶやきから広く一般にも知られるようになる。詩集『詩の礫』(徳間書店)に始まり怒濤のように7冊の本が出された。20年間の詩人活動で出した6冊をあっという間に超えていた。


この日のキーワードは「言葉の橋」である。避難所で67歳の女性が語っていた「いい言の橋をかければ必ず相手も渡ってきてくれる」という話に心を打たれたのだそうだ。


最後の締めくくりで和合さんの声がまた一段と大きくなった。


「橋をかけられることを待つのではなく、福島から橋をかけていく」「外側の人に声を熱くして伝えていく。そうでなければ福島は生き残ることができない」。「言葉の橋」を架け続けるという覚悟。福島への愛と使命感。滅多に聞けないと思うほどの強い言葉だった。


実は私自身も福島の出身である。微力ながら「言葉の橋」を架けていこうと考えている。



ゲスト / Guest

  • 和合亮一 / Ryoichi Wago

    日本 / Japan

    詩人 / Poet

研究テーマ:シリーズ企画「3.11大震災」

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