2012年03月27日 15:00 〜 16:30 10階ホール
研究会「ミャンマー」② 経済の潜在性と展望

会見メモ

司会 日本記者クラブ企画委員 小此木潔(朝日新聞)

会見で使用した資料

http://www.jnpc.or.jp/files/2012/03/88064f39b38edad4db1720ada756adcf.pdf

日本貿易振興機構アジア経済研究所の工藤氏のページ

http://www.ide.go.jp/Japanese/Researchers/kudo_toshihiro.html


会見リポート

「民主化」と「自由化」の滑走路へ

鶴原 徹也 (読売新聞編集委員)

ミャンマーが大きく変わりつつある。テイン・セイン中将が大統領に就いた昨年3月以来、「ミャンマー機」は経済的離陸に向け、「民主化」と「自由化」という舗装のされた滑走路を走り出したかのようだ。

 

「年7%の経済成長が見込める。13年後には今のベトナム、30年後には今のタイの経済規模になりうる」

 

工藤年博JETROアジア経済研究所研究員が示す航路だ。ミャンマーもようやく、他の東南アジアの先行集団に続こうとしている。

 

まずは、繊維など輸出を志向する労働集約型産業に飛躍の可能性がある。天然ガスをはじめとして資源は豊富だ。一抹の懸念は、その豊富な天然ガスにある。輸出を拡大すれば為替レートが跳ね上がり、発展すべき輸出志向のミャンマー製造業の首を絞めることになりかねない。一方、米欧が経済制裁解除を視野に入れた中、日本も対ミャンマー関係を見直し、積極的に関与すべきだ。日本はミャンマーが求める「真摯な開発パートナー」になれる──。

 

工藤氏の話を乱暴に要約するとこんな具合だ。講演では“明るい面”が強調された。

 

だから、講演後は“暗い面”を巡る質問が出た。「軍部と政商は既得権を手放さないのではないか。自由市場は成立しないのではないか。未来への視界を覆う霧は晴れるのか」

 

工藤氏は「分からない」と率直に答えつつ、既得権益を象徴するライセンスを取得しなくても一部で事業が可能になってきた例を持ち出して、「自由化」の進展を予測した。

 

かつて筆者は、ミャンマーで敵対するふたりの原理主義者が死なない限り、国の姿は変わらないと愚考していた。タン・シュエ氏とアウン・サン・スー・チー氏だ。だが、ふたりとも存命で、国は変貌しつつある。視界は良好ではないが、ミャンマー機はとにかく飛ぶのだろう。

 


ゲスト / Guest

  • 工藤年博 / Toshihiro Kudo

    日本

    日本貿易振興機構アジア経済研究所 地域研究センター東南アジアⅡ研究グループ長 / Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization (IDE-JETRO)  Director, Southeast Asian Studies Group II, Area Studies Center

研究テーマ:研究会「ミャンマー」

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