2012年03月13日 15:00 〜 16:30 10階ホール
研究会「ミャンマー」 津守滋・元ミャンマー大使

会見メモ

司会 日本記者クラブ企画委員 山岡邦彦(読売新聞)


会見リポート

改革の行方を世界が注視

宮野 弘之 (産経新聞編集委員)

この1年、ミャンマーで起きた急激な変化を受けて、同国に駐在した日本の元大使の方々から、話を伺う機会が多い。そのなかで津守氏は、旧ソ連に駐在した経験から今のミャンマー情勢を、「デジャヴ(既視感)のようだ」といい、ソ連最後の大統領となったゴルバチョフ氏がペレストロイカ(改革)を唱えて登場したときになぞらえてみせた。そして、今の動きがソ連崩壊、ベルリンの壁の崩壊ほどの歴史的意義を持つものになるかどうかはわからないが、少なくとも「世界レベルでの広がりを持った大きな事件であることは間違いない」という分析は、とかくアジアの枠組みで、ミャンマーを見ることが多いなかで示唆に富んでいる。


ミャンマーを発展から取り残されたアジアの最貧国であり、食料も不足し、国民は世界情勢などについて知らないと思っている人は多い。しかし、最大都市ヤンゴン(旧ラングーン)はかつて、バンコクより栄え、シンガポールのリー・クアンユー元首相(現顧問相)が、都市国家建設にあたり、モデルとしたほど整備されていた。さらに都市住民の多くは政治意識が高く、内外の情勢も正確に把握している。だからこそ、現在、新政府が進める改革への期待が高いのだ。


津守氏は、今後の課題として少数民族との和解に加え、「経済・社会問題の解決が一番難しい」という。国軍は産軍複合体であり、軍政を中心とした縁故主義がはびこってきた。経済政策を進める人材も圧倒的に少ない。


ミャンマーは、かつての輝きを取り戻せるのだろうか。津守氏は「ミャンマーは10年後、いまよりはるかに強い国になっているだろう。天然資源があり、民度も高い。10年後には米国や中国が手を出そうとしてもできない国になっているだろう」とみる。それは、ミャンマー国民自身が一番願っているに違いない。



ゲスト / Guest

  • 津守滋 / Shigeru Tumori

    日本 / Japan

    元ミャンマー大使(桐蔭横浜大学客員教授) / Former Ambassador of Japan to Myanmar

研究テーマ:ミャンマー

研究会回数:0

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