2012年02月28日 15:00 〜 16:30 宴会場(9階)
シリーズ企画「3.11大震災」 福島原発事故独立検証委員会 報告書発表会見

会見メモ

司会  日本記者クラブ企画委員 川村晃司(テレビ朝日)


登壇者(左から)

船橋洋一 福島原発事故独立検証委員会プログラム・ディレクター、日本再建イニシアティブ財団理事長

北澤宏一委員長、前科学技術振興機構理事長

遠藤哲也委員、元国際原子力機関理事会議長

但木敬一委員、元検事総長・弁護士

野中郁次郎委員、一橋大学名誉教授

山地憲治委員、地球環境産業技術研究機構理事・研究所長


福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)のページ

http://rebuildjpn.org/


会見リポート

官邸の11日間に肉迫

塩谷 喜雄 (日経出身 科学ジャーナリスト)

福島第一原発から外部への、放射性物質の大量放出には、二つのピークがある。3月15日と21日である。3月11日に地震と津波に襲われてから21日までの11日間に何が起きたのか。これを把握しない限り、事故の本質は見えてこない。


政府の調査・検証委員会や、当事者の東京電力などが昨年末に調査の中間報告を出しているが、肝心の11日間の推移については、あまり踏み込んでいない。


独立を冠した民間の組織がまとめた今回の調査・検証報告書は、政治と行政の中枢、首相官邸の11日間には、かなり肉迫している。日本の政治権力・統治機構には、衆知と組織力を短時間に動員して、リスクを最小化する仕組みがそもそも欠落している。官邸のあわてぶりと、細部への過剰介入を、関係者へのインタビューで導いた若手のワーキンググループの労を多とすべきだろう。


残念ながら、福島第一の原発サイトの11日間については、東電が調査・聞き取りに応じなかったため、北澤宏一委員長が、4基の原発の破損を「並行的連鎖」と述べたこと以外、とくに目新しい事実の発掘はなかった。


福島第一原発は純粋な民間施設である。法制度上は事故責任を一身に負うべき事業者、東京電力の11日間は不明のままだ。今回明示された政治の不手際も、本当に過剰介入かどうかは、東電の事故対応との比較が必要だろう。


社会が大規模な災害と対峙するのに、必須の要件が二つあるという。「備え」と「覚悟」である。今回は、政治、行政、経営、学界、メディアそれぞれに、両方とも欠けていたのは確かなようだ。


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研究テーマ:シリーズ企画「3.11大震災」

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