2012年01月16日 14:00 〜 15:30 10階ホール
研究会「2012年経済見通し」「中国経済」柯隆 富士通総研経済研究所主席研究員

会見メモ

2012年経済見通し 中国経済


司会 日本記者クラブ企画委員 長谷川幸洋(東京新聞)


富士通総研 柯隆氏のページ

http://jp.fujitsu.com/group/fri/economic/people/ke.html


会見リポート

高成長維持? 鬼門は「格差」「信用秩序」

八牧 浩行 (時事通信出身)

開口一番、「昨日、明るい上海から戻って来まして日本の暗い雰囲気にまだ慣れません」─。すると会場からどっと自嘲的などよめきが起きた。20年前から日本のシンクタンクで調査分析を行い、母国・中国への辛口トークで知られるエコノミスト。多岐にわたり持論を展開、あっという間の1時間半だった。


2012年の中国経済について「物価の落ち着きとともに景気を刺激する方向に政策が動き、高成長を維持する」と予測。11年のGDPの伸び(9・2%)は前年(10・3%)より1%程度下がったが、「潜在的な経済成長率は約9%なので妥当」と強調した。一番の強みは「52%という貯蓄率の高さ」で、これが投資を支え経済をけん引すると語る。欧米の景気後退に伴う影響が懸念されるが、「中国の輸出品は安価な生活必需品が多く大きく落ち込まない。投資引き揚げも相対的に微々たるレベルにとどまる」と楽観的。


一方で、中国政府が推進する「社会主義体制下での資本主義」の制度や社会基盤が整わず、「信用秩序の混乱」や「格差拡大」が深刻化、このままではサステナビリティ(持続可能性)の問題に直結すると警告する。


何年も前から中国経済はいずれ失速すると言われながら、米欧日の苦境を尻目に主要国で「1人勝ち」が続いている。このまま8~9%程度の高成長が続けば8年でGDPは2倍になり、世界一の経済国家になる可能性も。12年のGDP統計発表を伝える新聞・テレビ報道は「減速は深刻」「成長曲がり角」といった論調ばかりだったが、読者の「いつか行き詰まる」との期待?に迎合し過ぎかもしれない、と自戒せざるを得なかった。




ゲスト / Guest

  • 柯隆(かりゅう) / Long Ke

    富士通総研経済研究所主席研究員 / Senior Fellow, FUJITSU RESEARCH INSTITUTE Economic Research

研究テーマ:2012年経済見通し

研究会回数:0

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