2011年11月15日 15:00 〜 16:00 10階ホール
福島原発事故独立検証委員会 記者会見

会見メモ

政府や国会の事故調査委とは異なる民間の立場で福島第一原発事故の調査・検証を行い、教訓と提言を日本と世界に向けて発表することをめざす福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)が記者会見で、目的と調査の内容を話した。


民間事故調は日本再建イニシアティブ財団が設立し、北澤宏一・前科学技術振興機構理事長が委員長とする専門家7人で構成。研究者やフリージャーナリストら約30人のワーキンググループが関係者のインタビューを始めている。2012年3月11日までに報告書を刊行し、12年夏に英語版報告を発表する予定。

事故の経過、なぜ起こったのか、背景や制度、組織を検証し、だれがどの時点でどういう判断を行ったのかディテイルを調べる、という。東京電力にも調査への協力を求めている。また、一般からの情報提供を受け付けるサイトも作り、住民や関係者の証言を集める。


司会 日本記者クラブ企画委員 川村晃司(テレビ朝日)


日本再建イニシアティブのホームページ

http://rebuildjpn.org/


会見リポート

国とは一線、民間で独自調査に挑む

川合 智之 (日本経済新聞科学技術部)

政府、国会に続く第3の「民間事故調」である福島原発事故独立検証委員会が発足した。一般財団法人日本再建イニシアティブ(船橋洋一理事長・左)が企業の協賛を募り、その資金で独自調査に挑む。


委員長に就いた科学技術振興機構前理事長の北澤宏一氏は、日本からの情報発信が少ないことを震災直後から危惧していた。「海外は(日本が)国として情報を隠しているという印象を持った」と嘆く。国が発表する情報だけでは世界は納得しない──。そんな危機感が民間事故調の設立につながった。


北澤氏は「3・11の事故を不幸と受け止めるだけでなく、日本の教訓として生かしていくことができるか」と問いかける。それには徹底的な原因究明が欠かせない。約30人の若手研究者、弁護士らが聴取を進め、但木敬一・元検事総長ら7人の委員が検証する体制を整えた。来年3月までに報告書をまとめ、海外にも英語で情報発信する計画だ。


国会の調査とは異なり、民間事故調に強制的な調査権限はない。それで真相に迫れるのか。北澤氏は「仮に国の権限で『答えなさい』と言っても、国会答弁を見ればわかるように、真実が出てくるわけではない」と応じた。むしろ「若くて熱心な人がインタビューすると、いろいろなことを話してくれるものだ」という。聴取を進めるなかで「真実はディテールの蓄積の上にあることが分かってきた」とも語る。


事故の背景に日本社会特有の問題があるとみている。「一人ひとりは善良な市民だ。ところが全体として集積すると無責任になってしまう」。そんな風潮が原発事故を深刻化させたのではないか。「誰か1人に責任があるのではない」という北澤氏の言葉は、我々にも重い問いを投げかけている。


ゲスト / Guest

  • 北澤宏一 福島原発事故独立検証委員会委員長 船橋洋一 日本再建イニシアティブ財団理事長 / Koichi KITAZAWA, Chairman, Independent Investigation Commission of the Fukushima Nuclear Accident Yoichi FUNABASHI, President,Rebuild Japan Initiative Foundation

研究テーマ:シリーズ企画「3.11大震災」

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