会見リポート
2011年10月25日
14:00 〜 15:00
宴会場(9階)
研究会「HIV/エイズ」ジェームズ・チャウ 国連合同エイズ計画(UNAIDS)親善大使
会見メモ
司会 日本記者クラブ企画委員 宮田一雄(産経新聞)
通訳 池田薫 (サイマルインターナショナル)
ジェームズ・チャウ氏のホームページ
http://www.james-chau.com/about/index.html
日本国際交流センターのホームページ
日本記者クラブのページ
http://www.jnpc.or.jp/activities/news/report/2011/10/r00023425/
会見リポート
メディアは科学を伝え命を救う
中島 健夫 (NHK国際部副部長)
ジェームズ・チャウ氏は、国連エイズ親善大使として、HIV陽性者の人権擁護を訴えるとともに、エイズの感染予防などの啓発に務めてきた。氏がエイズ問題をはじめとする世界の保健問題に取り組むきっかけになったのは、SARS(重症急性呼吸器症候群)や鳥インフルエンザ問題などの取材がきっかけだった。
国連エイズ親善大使に任命された後に受けたアドバイスで、今も氏の中に残っている言葉は「メディアは命を救うことができる」という言葉と、これと対極にある「メディアは人の命を奪うこともできる」というものだという。
以来氏は、エイズをはじめとした世界の保健問題を伝える際に単に患者の数などの統計を伝えるのではなく、病気に苦しむ人々の生活を伝えることをもっとも重要視している。こうした「数字の向こうにある人々の暮らし」を記事やニュースとして伝えることでその情報を受け取る人が「自分は何ができるのだろう」と感じてくれることが世界の保健問題を伝える際にもっとも重要だと氏は考えている。
現在世界では3400万人がエイズに苦しみ、毎日7400件の新しい感染症例が報告されているという。こうした状況はまだまだエイズをとりまく状況には問題があると氏は指摘する。エイズが世界的な問題として取り上げられて30年、次の10年に向けては医療技術の革新などが必要となる。
そうした中でメディアの果たすべき役割とは何か、チャウ氏は科学を人々に伝えることだと指摘する。たとえ、科学がエイズ治療に革新的な技術をもたらしても、メディアがそれを人々に伝えなければ役に立たないのだ。氏は記者会見中常に笑顔を絶やさずにわれわれに話しかけたが、そのひとつひとつの言葉は重く、私たちにジャーナリストの使命とは何かをずっしりと響くように問いかけた。
ゲスト / Guest
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ジェームズ・チャウ / James Chau
UNAIDS親善大使 / UNAIDS Goodwill Ambassador
研究テーマ:HIV/エイズ