2011年07月26日 16:00 〜 17:00 宴会場(9階)
研究会「中東 ハマス」

会見メモ


司会 日本記者クラブ企画委員 川村晃司(テレビ朝日)


英イスラム政治思想研究所所長のホームページ

http://www.iiit.org/Home/tabid/36/Default.aspx


アッザム氏がBoad Chairmanを務めるAL HIWAR TVのホームページ

http://www.alhiwar.tv/


会見リポート

2国家共存策に言及

高橋 弘司 (毎日新聞新聞研究本部)

「アラブの春」と呼ばれる中東の大変動が続く中、従来なら最大の緊張要因だったパレスチナ情勢は意外なほど静かだった。だが、パレスチナ側が9月の国連総会で国家樹立の承認決議を得る方針を示し、再び緊張が高まりそうな雲行きだ。


多くの出席者の関心は、国連総会決議の行方だった。タミーミ氏は「(停滞している)中東和平交渉再開に向け、国際社会の支援でイスラエルに圧力をかける狙いだが、米国が承認しておらず、困難だろう」と予測した。国連やパレスチナ自治政府のアッバス議長に強い影響力を持つ米国がノーと言えば、当面、事は動かないとの見立てだ。


もう1つの関心は、「アラブの春」がパレスチナにどんな影響を及ぼしているかという点だった。ヨルダン川西岸を統治する穏健派組織「ファタハ」と、対立組織でガザを実効支配するイスラム原理主義組織「ハマス」がこの5月、4年ぶりに統一政府結成で合意したのも一例だ。米国が、閣僚任命に「ハマス」が関わらないよう求めるなどして、結局白紙に戻ったというが、タミーミ氏は「第3次インティファーダ(反イスラエル抵抗闘争)を求めるような若者集団が結成されている。闘争再開を可能にするような情勢が『アラブの春』によって生まれるのではと注目している」と話した。


ハマス研究の第1人者、タミーミ氏の発言からは、ハマスへの強いシンパシーが感じられた。そんな氏が夢物語と断りつつ、イスラエル、パレスチナの「2国家共存策」に言及し、「双方で長期休戦し、現実を承認することからスタートすれば、2国家共存がありうるかもしれない」と語った。イスラエルの存在を認めてこなかったハマスの変化を予兆させる発言だった。アラブ諸国の米国離れが進む中、孤立感を深めるイスラエルの出方が今後のカギを握る。


ゲスト / Guest

  • アッザム・タミミ / Azzam Tamimi

    パレスチナ / Palestine

    英イスラム政治思想研究所所長 / Director, Institute of Islamic Political Thought (IIPT)

研究テーマ:中東 ハマス

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