2011年07月21日 15:00 〜 16:00 宴会場(9階)
シリーズ企画「3.11大震災」 二次電池(蓄電池) 宮田秀明 東京大学大学院教授

会見メモ

司会 日本記者クラブ企画委員 小此木潔(朝日新聞)


使用したパワーポイント①

http://www.jnpc.or.jp/files/2011/07/b1df274875a4578a18c611ff8ee8f9f8.pdf

パワーポイント②

http://www.jnpc.or.jp/files/2011/07/afd264c0eeae058dc89c050cb917d713.pdf


宮田秀明氏のホームページ

http://triton.naoe.t.u-tokyo.ac.jp/member/staff/miyata/index.html


会見リポート

復興に蓄電池の社会システムを

小川明 (共同通信編集委員)

大震災は原発事故を起こし、エネルギー政策を変えた。菅直人首相の個人的な「脱原発」表明もあった。国会でも、太陽光などの電力を固定価格で電力会社が買い取る制度の導入を柱とする再生エネルギー特別措置法案が審議されている。「この法案はすごく危険です」と宮田秀明東京大教授は訴えて、話を始めた。


「風とか太陽光は天候任せで激しく変動する。不安定な自然エネルギーは低品質の電気です。全量買い入れ制度はあり得ない。欧州も高品質の蓄電システムに舵を切っている」と強調した。科学的検討なしで拙速な議論があふれ、門外漢たちが暴走する危険を嘆いた。


船舶工学者の宮田教授は2008年に二次電池社会システム研究会を組織し、「電気は貯蔵できるというパラダイムシフトによって一種の産業革命を起こそう」と、蓄電池の普及を図ってきた。「リチウム電池は値段がどんどん下がっている。大量生産すれば、低価格化は急速に進む。車だけでなく、住宅や事業所でも使えるようになりつつある。電気を自分でつくり、ためて使う。電気の地産地消を進めるには蓄電池が欠かせません」と語った。


まず沖縄振興で蓄電システムの導入を進めた。今年2月には、電気自動車220台を投入し、沖縄本島に充電スタンドも配備し、電気自動車のレンタカー事業をスタートさせた。石垣島などに蓄電池を活用した環境未来都市の建設も構想している。


「リチウム電池の技術は最も有望で、日本が圧倒的に世界のトップを走っている」と指摘する。東日本防災環境未来都市研究会の活動も始めた。「蓄電池を使った新しい社会システムをつくるのが重要で、最初の試金石が東北復興になる。世界初のリチウム電池量産工場を東北に建設し、被災地で大規模な蓄電基地の有効性を示す実証実験を始めたい」と意欲を示した。蓄電池への関心を高める刺激的な講演だった。


ゲスト / Guest

  • 宮田秀明 / Hideaki MIYATA

    日本 / Japan

    東京大学大学院教授 / Prof. Tokyo University

研究テーマ:シリーズ企画「3.11大震災」

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