2011年07月11日 12:00 〜 14:00 10階ホール
申珏秀・新駐日韓国大使 昼食会

会見メモ

6月に着任したばかりの韓国の申大使を招き、昼食会を行った。大使は、日韓の政治、経済、文化関係や人的交流の進展、過去の歴史問題、北朝鮮の核開発や三大世襲、南北統一問題など多岐にわたるテーマについて語り、質問に答えた。日韓FTAについては、局長クラスでの交渉が再開され、韓国側が懸念している、①貿易構造の不均衡②非関税障壁の是正に取り組んでいけば、妥結の環境がととのっていくのでは、と述べた。


司会 日本記者クラブ理事 河野俊史(毎日新聞)

質問 日本記者クラブ企画委員 星浩(朝日新聞)

通訳 ビョン・ソンキョン(駐日韓国大使館)


駐日韓国大使館

http://jpn-tokyo.mofat.go.kr/jpn/index.jsp

YouTube会見動画

会見詳録


会見リポート

築けるか新しいパラダイム

阪堂 博之 (共同通信編集委員)

「歳寒くして、然(しか)る後、松柏の凋(しぼ)むに後(おく)るるを知る」。「苦しい時の友は真の友」と解される論語を引用し、東日本大震災後の日韓関係を説明した。震災後、韓国では日本への募金運動がかつてない盛り上がりを見せた。「国挙げて日本を応援するのは有史以来初めて」と断じた識者もいたほどだ。大使自身、6月の着任後、すぐに被災地を訪れた。「困難をともにした経験は両国関係の将来を明るくする貴重な財産になる」というのが、学究派として知られる知日派外交官の最も強調したかった点に違いない。


「ヨンさま、チャングム、KARA、東方神起、イ・サン、チャン・グンソク、少女時代」と韓流の代名詞を列挙しながら、22年ぶりとなる日本勤務を「隔世の感」と評した。そして、10年後をにらんだ日韓関係推進のため①国民交流拡大②緊密な政治家交流③東アジアや世界での協力拡大の3本柱を強調。特に、昨年約550万人に達した国民交流を年間1千万人レベルに引き上げ、青少年交流をさらに拡大したいと意欲を示した。


だが、ハードルは少なくない。大使も「過去の不幸な歴史」や「北朝鮮問題」などがそうだと認めた上で「21世紀の日韓関係の新しいパラダイム構築に全力を尽くす」と言明した。そのパラダイムとは「双方にとってプラスになる共生と協力の善隣関係」だという。


3月末に日本の中学校教科書検定で合格した社会科公民や地理の教科書に竹島(韓国名・独島)が日本領土として明記されると、あれほど盛り上がっていた韓国での募金運動は潮が引くように下火になった、と聞く。会見でも、日韓双方の出席者から竹島問題への見解をそれぞれ問われたが「お答えするのは適切でない」と答えた。そのことが、日韓間の最も高いハードルが何であるかを何より雄弁に物語っていた。


ゲスト / Guest

  • 申珏秀 / Gak Su SHIN

    韓国 / Korea

    駐日大使 / Ambassador to Japan

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