2011年05月31日 13:00 〜 14:00 10階ホール
研究会「大使に聞く 南アフリカ」

会見メモ

小澤俊朗・南アフリカ大使が研究会「大使に聞く」で、最近の南アフリカ情勢と日本との関係について話した。


≪南アフリカは資源だけの国ではない。日本にとってビジネス拡大の市場だ≫


小澤大使は南アフリカを理解する4つのキーワードを次のようにあげた。

①先進国兼途上国(貧富の格差が大きい)②話しあいで政治社会革命を実現(アパルトヘイトからの平和的な体制転換は人類史上でも稀有)③サブサハラの経済へゲモン(全アフリカ発電量の45%を生産)④新興国(BRICSや気候変動のBASICに加わる)

南アフリカは原発2基を持つが、電力不足が深刻で、原発増設計画を福島原発事故後に発表した。日本は昨年、岡田外相(当時)が訪問し原子力協力協定交渉の開始で合意した。小澤大使は「交渉は1回行ったが、2回目以降の日程が決まらないまま、福島の事故が起こった」と述べ、中断していることを説明した。


司会 日本記者クラブ企画委員 泉 宏


在南アフリカ日本大使館のホームページ

http://www.za.emb-japan.go.jp/index_jp.html


会見リポート

フロンティアを攻めよ

金子 大 (共同通信外信部)

一時帰国した小沢俊朗・駐南アフリカ大使は「日本のような国はフロンティアを攻め続けないと衰退する」と持論を展開。新興国の一角を占める南アを、21世紀の日本にとっての未開拓地になぞらえ、戦略的関係を構築する重要性を訴えた。


小沢大使は南アの歴史や現状について4つのキーワードを用いた。


一つ目は「先進国兼途上国」。高い技術力や、サービス産業が発展した先進国型経済を持ちながら、所得分配の格差や失業率が共に高く、アパルトヘイト(人種隔離)の下で黒人の教育を制限した負の遺産が残るなど、南アは発展途上国的な側面も引きずっている。


二つ目に挙げたのは「話し合いによる政治社会革命の実現」。1994年に少数白人政権から黒人主導政権への移行を平和的に成し遂げた実績により、南アは国際政治の場で特異な「モラルパワー」を持っていると指摘した。


さらに小沢大使は「新興国」「サブサハラの経済席巻」というキーワードを用いて、南ア経済の成長ぶりを解説した。


政治、経済の両面で存在感を増す南アに対する日本の関与には、てこ入れの余地があるようだ。南アに進出している日本企業は103社を数え、15万人規模の雇用を創出しているとされるが、現地に住む日本人は1400人にすぎない。


これに対して南ア在住の中国人は30万人とも50万人ともいわれる。南アのトップバンクの株式を取得したり、南アを足場に近隣国への投資に目を向けるなど戦略的な動きも見せている。


大使は「日本も戦略的に行動すべきだ。アフリカに関する知見は日本の方が持っている」と指摘。対アフリカ戦略で日本が中国と協力していく選択肢にも言及した。


ゲスト / Guest

  • 小澤俊朗 / Toshiro OZAWA

    日本 / Japan

    駐南アフリカ大使 / Ambassador of Japan to South Africa

研究テーマ:大使に聞く 南アフリカ

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