2011年05月09日 15:00 〜 16:00 10階ホール
シリーズ企画「3.11大震災」 堀道夫 全国各種学校日本語学校協議会

会見メモ

4月15日、東京地区にある日本語学校9校と協力し、震災復興支援日本語学校協議会を立ち上げた。ことし12月末までに活動期間を限定し、帰国したり、入学辞退した学生の呼び戻しにつながるようないろいろな対策をうっていきたいという。「日本にいる留学生の総数は約17万5千人で、そのうち3分の1が帰国したといわれている。地域差があるが、7割から9割は戻ってきたときいている。日本語教育機関にとってより深刻なのは、10月期入学の募集が前年比7割減になっていることだ」。このような状況を受け、法務省は入国審査の期限を約1カ月延長することを決めたそうだ。

留学生が減ることで日本の高等教育へも影響が出てくる。それは、日本の大学などに進む約6割が日本語教育機関を経由しているためである、と。中長期的には、文科省が提唱している、2020年をメドに留学生を30万人受け入れる計画にも打撃を与えることになると懸念を示した。


司会 日本記者クラブ企画委員 泉宏


レジュメ

http://www.jnpc.or.jp/files/2011/05/c9016912b9aa61ca60a92937ea78d1ba.pdf

資料

http://www.jnpc.or.jp/files/2011/05/57fa25bf6d73bc73e0e56bfa8c365219.pdf


全国各種学校日本語学校協議会のホームページ

http://www.zenkaku-nikkyo.jp/index.html



会見リポート

「風評被害」で留学生減少の危機

泉 宏 (企画委員 時事通信出身)

外国人留学生の減少だ。被災地の学校に留学していた外国人はもとより、日本各地の留学生の多くが恐怖と不安などで帰国し、新年度になって退学や休学を申し出た例も少なくない。留学生を受け入れてきた全国各地の日本語学校の経営危機にもつながっている。そこで堀氏は緊急対応が必要と大震災直後に「震災復興支援日本語学校協議会」を立ち上げた。


堀氏の活動母体は平成21年10月に設立した「全国各種学校日本語学校協議会」。若い留学生の日本語教育を進める学校教育法上の「各種学校」は現在40校余り。その半数が会員となり在留資格の認定証明など法的課題の解決を目指している。


堀氏によると、大震災・原発事故の影響で東日本だけでなく全国の日本語教育機関で①留学生の退学・休学は1~3割②4月の新年度からの入学辞退・延期が3~5割③10月からの入学募集への応募は7割減─となり、日本語学校の経営圧迫は避けられないという。「一言でいうと風評被害、地震より原発に関する海外報道が原因」と指摘し、「このままでは日本の将来にも影響する」と危機感を募らせる。


「今すぐできることをやろう」との考えから、すでに来日して日本語を勉強した留学生による被災者支援の仕組みづくりや慰問学生の募集などを進める。その一方で「風評被害」解消に向け、内外の関係機関を通じて正確な情報を発信することで「留学生の呼び戻し」につなげる考え。


現在、登録留学生17万5千人の3分の1が帰国中だという。政府は平成20年7月に「留学生30万人計画」を決めたが、「大震災で計画頓挫となる可能性が大きい」とし、まずは今年10月からの留学希望者に対し、申請締め切りの延長や学費援助などで「なんとか応募者激減に歯止めをかけたい」と訴えた。

ゲスト / Guest

  • 堀道夫 / Michio HORI

    日本 / Japan

    全国各種学校日本語学校協議会 代表幹事

研究テーマ:シリーズ企画「3.11大震災」

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