2011年04月06日 13:00 〜 14:00 10階ホール
被災地議員 記者会見 吉野正芳 衆議院議員 (自民、福島)

会見メモ

福島県選出の吉野正芳衆議院議員(自民)が「被災地議員」シリーズで記者会見し、地震、津波、原発事故に加え、第四の被害である風評被害に苦しむ福島県の状況を報告した。


≪「原発を推進してきた1人としてじくじたる思いだ。最悪、町がなくなってしまう」≫

吉野さんは、「原発立地の福島県双葉郡8カ町村はほとんど全員7万2000人が避難した。みなさんふるさとに戻りたいが、原発が安定化しないと戻れない」と述べた。「着の身着のままでお金を持たずに避難しており、コインランドリーも使えない。それなのに、政府は当座の生活資金を1円も渡していない。なぜ国が前面に立たないのか」と政府を批判し、貴重品を手元に置くため一時帰宅を認めるよう求めた。

原発推進派の政治家として感想を聞かれ「じくじたる思いだ。原発立地交付金を町づくりに使い、原子力との共生共存はうまくいっていた。しかし、この結果となり、最悪の場合、地球上から町がなくなってしまう。体は、もう原子力はいらない、といっている。だが福島第二原発や女川原発は生き残った。科学的な検証が必要であり、検証なくして原発の今後を論じるのは時期尚早ではないか」と複雑な心境を語った。


司会 日本記者クラブ企画委員 和田圭(フジテレビ)


吉野正芳議員のウェブサイト

http://www.myoshino.com/


会見リポート

「被災地には与党も野党もない」

中井 良則 (日本記者クラブ事務局長)

現場の状況を体験し、復興に向けたアイデアをたくさん持っているはずなのに、あまりメディアに登場していない政治家がいる。大震災の被災地を選挙区とする国会議員だ。経験と提言を聞こうと「被災地議員」シリーズを企画した。


まず、原発事故で苦しむ福島県から増子輝彦参議院議員。昨年9月まで経産副大臣だった。「私も原発行政の責任者の一人だった。批判は甘んじて受ける。全国の原発の安全点検を急がなければならない」と苦しそうに語った。「菅総理は胆力を示し、トップの決断を」と繰り返し求め、与党議員なのに菅政権への歯がゆい思いを隠さなかった。


やはり福島県選出の吉野正芳衆議院議員も原発推進派だった。「最悪の場合、町が地球からなくなってしまう。体は、もう原子力なんていらないといっているのだが」。立地交付金で地元はうるおい、原発と共存する。そういうバラ色の構想が取り返しのつかない結果を生んだ無念さを感じさせた。


宮城県気仙沼で生まれ育った小野寺五典衆議院議員は本人が被災者となった。安否不明の母と弟を探しまわり、ようやく避難所でみつけた。海に出ていた弟は壁のような津波を船で突っ切って生き残った。海上に流された家の屋根につかまった人を助け上げた。それなのに、今度は海面の重油に火がついた。壮絶な実体験を聞いていると、涙が出てくる。連立や入閣をめぐる与野党のかけひきを聞かれ「被災地には与党も野党もない。遠い話です」。


3・11後、政治への信頼は損なわれた。被災者の悩みと怒りを直接知る議員が新しい政治を作りだすしかない。会見の動画はクラブのホームページから見ることができる。アクセスする価値はある。


ゲスト / Guest

  • 吉野正芳 / Masayoshi YOSHINO

    日本 / Japan

    衆議院議員 (自民、福島) / Member of House of Representatives

研究テーマ:被災地議員 記者会見

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