2011年02月24日 14:00 〜 15:00 10階ホール
フィリップ・ドスト=ブラジ UNITAID理事長

会見メモ

航空券国際連帯税によりHIV/エイズなど感染症の治療薬を貧困国に供給する国際的な取り組みについて、ドスト=ブラジUNITAID(ユニットエイド)理事長が記者会見で話した。

司会 日本記者クラブ企画委員 宮田一雄(産経新聞)

通訳 池田薫(サイマルインターナショナル)


UNITAIDのホームページ(英語)

http://www.unitaid.eu/


会見リポート

航空券課税で治療薬購入資金を

宮田 一雄 (企画委員 産経新聞特別記者)

世界の貧困や不公正と闘うための資金を新しい方法で調達する。そうした革新的資金調達メカニズムの最初の実践例として、UNITAIDはいま国際的に大きく注目を集めている。


《1日の生活費が1・25ドル以下の最貧困層の人口は世界で12億》


《ブラジルのルラ前大統領は「飢餓こそが最大の原子爆弾」と語る》


《3秒に1人子どもが死亡し、1分間に1人母親が死んでいる》


シラク政権の仏外相として2006年のUNITAID発足に携わったドスト=ブラジ氏はそうした「現実」を示し、「その気にさえなれば、こうした恐るべき不公正と闘うことは可能だ。悲劇を座視することはできない」と語った。


UNITAIDは「航空券に少額を課税することでエイズ、結核、マラリアの3大感染症の治療薬購入の資金を確保する」という活動を続けている。


この4年間に調達された資金は20億ドルに達し、医薬品を安定的に購入する資金が確保されたことで製薬会社に対する薬の値引き交渉も可能になったという。


「航空券への課税は100円程度なので、個々の航空機利用者の負担は非常に小さく、気が付かないほどだ。それでも、多くの人を対象にすることで巨額の資金が確保でき、痛みの伴わない貢献が可能になります」


国連の革新的資金調達に関する事務総長特別顧問でもあるドスト=ブラジ氏によると、国際連帯税の最初の実践例である航空券税は2006年7月にフランスが導入して以来、15カ国がすでに実施に踏み切っている。また、40カ国の指導者が導入を約束し、他の国々も関心をもって研究を進めているという。


日本はその関心を持っている国のひとつであり、ドスト=ブラジ氏からは「ジャーナリストや日本の世論が政府の決断の後押しをしてほしい」と強い期待感が示された。


ゲスト / Guest

  • フィリップ・ドスト=ブラジ / Philippe Douste-Blazy

    UNITAID理事長 / Chairman, UNITAID

ページのTOPへ