2011年01月28日 15:00 〜 16:30 10階ホール
岩田一政 日本経済研究センター理事長 研究会

会見メモ

岩田一政氏(日本経済研究センター)がシリーズ研究会「2011年経済見通し」で、為替レートの安定やデフレ克服と成長戦略について語った。


パワーポイント資料

http://www.jnpc.or.jp/files/2011/01/f6012a507a9b4ac0d2b0f3c582295d97.pdf


≪「日本は国富に比べて人的資本が豊富な国だが、若者と女性を中心に『日本型人的資本形成』を再構築する必要がある」≫


岩田氏は日本経済が2011年後半から回復軌道に復帰し、成長率は2010年度が3.3%、11年度1.5%、12年度2%程度と予想した。日米中の実質実効為替レートの推移を比べ、日本のバブル崩壊後、95年の円高が行き過ぎたことが、企業の賃金カットや不正規雇用増大につながったと説明した。デフレが1%あると政府債務830兆円は実質的に8.3兆円負担が増えることになると指摘し、デフレ脱却を重要な課題にあげた。そのために「一人当たり名目賃金の持続的な上昇」が必要だと述べた。

成長戦略の柱としてグリーン成長、アジア太平洋戦略、人的資本拡大をとりあげで詳しく説明した。人的資本については、日本の国富(実物資本、土地などの合計)3000兆円に対し、人的資本(個人の生涯賃金の合計)は6000兆円もあるが、一人あたり名目賃金と同様、1997年にピークとなったと述べ、若者・女性の力を生かす新しい仕組みを作り出すよう訴えた。


司会 日本記者クラブ企画委員 小此木潔(朝日新聞)


日本経済研究センターのホームページ(岩田氏がブログを掲載している)

http://www.jcer.or.jp/index.html



会見リポート

日本発展のカギは「新G5」

八牧 浩行 (時事通信出身)

日本のバブル崩壊後、1995年の行き過ぎた円高が、企業の賃金カットや不正規雇用増大につながり、深刻な長期デフレをもたらしたと分析。2年以内にデフレから脱却するよう、インフレターゲットを重視した「最適な金融政策」と「適切な成長戦略」を実施すべきだと力説した。そのために「為替の安定」「労働生産性向上と新規雇用創出」「一人当たり名目賃金の持続的上昇」が必要だと述べた。

会場が注目したのは新たな世界経済秩序についての言及だった。購買力平価で表示した実質GDPでみると、中国の経済規模は、既に1992年に日本を上回り、2012年には米国も凌駕するとの学説を紹介。さらに、2019年の時点で世界経済は、大きな順に中国、米国、インド、日本、ドイツの5カ国によって形成されると指摘。「この中にアジアは3カ国も入っており、アジア太平洋地域におけるより深い統合を実現することが日本経済の発展のカギとなる」と結んだ。

ゲスト / Guest

  • 岩田一政 / Kazumasa IWATA

    日本 / Japan

    日本経済研究センター理事長 / President, Japan Center for Economic Research

研究テーマ:2011年経済見通し

研究会回数:0

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