会見リポート
2010年10月01日
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ギュンター・フェアホイゲン・元独外務省国務相・前欧州委員会副委員長
会見メモ
フェアホイゲンさんはドイツ社会民主党(SPD)の政治家で、ドイツ外務省国務大臣、欧州委員会委員を務め、2004年から2010年2月まで欧州委員会副委員長。1990年の東西ドイツ統一について「ソ連・東欧など大きな歴史の変化の中で起こった。ドイツ国民と近隣諸国が統一を受け入れたことが重要だ。欧州統合の深化の中にドイツ統一が組み込まれていった」と振り返った。質問に対して「EU加盟国の財政危機はあったが、ユーロ危機ではなかった。ユーロが後戻りすることはない」「ドイツの経験からいえば、朝鮮半島の南北統一のためには人々の統合への期待感が重要となる」「中国は世界最大の経済大国となるだろうが、そのことに恐れは感じない。中国が政治的な責任を意識し、建設的に世界の問題を解決するかが、欧日にとっての関心だ」などと答えた。
司会 日本記者クラブ企画委員 石郷岡建
通訳 片岡治代
駐日ドイツ大使館のホームページ
http://www.tokyo.diplo.de/Vertretung/tokyo/ja/Startseite....
会見リポート
欧州統合深化の中での独統一
安藤 徹 (東京新聞論説委員)
ドイツ再統一から20周年を機に、大使館の公式記念行事などに参加するための来日。会見は意外な逸話から始まった。「実は両目の手術で、その晩から14日間入院していたのです」
ドイツ社民党の重鎮だ。外務政務次官、欧州連合(EU)欧州委員会の拡大担当委員などを歴任し、今年退任したばかり。
壁崩壊当時は連邦議会議員だった。その日はコール首相(当時)すら外遊中。「率直な話、ドイツ再統一を予想し得た政治家は一人もいませんでした」。外交のプロの本音だろう。
統一は欧州統合の流れがあったからこそ達成できた、と強調する。「ドイツ統一がなくとも欧州統合はあったでしょうが、欧州統合がなければドイツ統一はあり得なかったといえます」
欧州委の拡大担当委員時代は、旧東欧諸国など10カ国の加盟交渉を担当したほか、今後最大の課題といえるトルコの加盟交渉開始にも尽力した。統合促進の歴史的な意義については揺るぎない確信を抱く。それだけに、このところのユーロ悲観論や統合深化を疑問視する欧州懐疑派には手厳しい。
「ユーロ危機なるものは存在しませんでした。あったのは、一国家の危機です」「ウォール街やロンドンの金融界で、ユーロの弱体化や解体までを望む人たちがいるのは知っています。ここで約束しますが、逆戻りはあり得ません」
逐次訳が終わるのを待てないと言わんばかりの精力的な話しぶり。退任後は、現役時代よりもかえって忙しくなりそうとか。中国など、台頭する新興勢力に対して、日欧米がより緊密に協力する必要がある、というのが締めのメッセージだった。
ゲスト / Guest
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ギュンター・フェアホイゲン / Gunter Verheugen
ドイツ連邦共和国 / Germany
元独外務省国務相・前欧州委員会副委員長 / German fomer Foreign Minister