2010年09月13日 00:00 〜 00:00
佐藤陽一・グーグルブックス担当マネジャー

会見メモ



会見リポート

専用端末不要のグーグル版

富田 真規 (朝日新聞社デジタルビジネスセンター)

電子書籍は私たちの敵か、味方か。「電子書籍元年」と呼ばれる2010年、多くのメディアが電子書籍ビジネスの可能性を模索している。そんな中、新メディアの旗手であるグーグルの佐藤氏の話は実に刺激的だった。

もはや電子化の波には逆らえない。それならば、旧メディアは新メディアの軍門に下るしかないのか。佐藤氏はそうした見方を否定する。新旧は協調しなければならないのだという。

今年夏、電子書籍の新サービス「グーグル エディション」の概要が発表された。最大の特徴について、担当マネジャーである佐藤氏は、専用端末が不要な点、と説明する。いつも通りパソコンでインターネットに接続して目的の本を探し出し、手続きを踏めば購入は完了する。書籍は端末にダウンロードされずに、ネットワーク上、つまり「クラウド」に保存される。インターネットへの接続環境があればいつでもどこでも書籍が読めるので、端末を選ばないというわけだ。インターネットに接続せずにオフラインで閲覧できる機能も検討しているという。

「グーグル エディション」では、出版社や書店もプレーヤーとして電子書籍市場に参入することが容易になるため、新旧対立の構図は大幅に解消できるという。そうなれば、電子書籍市場が一気に活気づくことは間違いない。電子書籍販売はアマゾンやアップルなどで始まっているが、来年予定されているこのサービスが始まれば、変化の波は急激に広がるだろう。

佐藤氏は「だれがデジタル化するかは問題ではない」という。利用者の主体性を重視した書籍販売・閲覧のプラットフォームを設けることで電子書籍市場そのものが活性化する。佐藤氏の会見を聴いて今後、さらなる競争激化は避けられそうにないとあらためて感じた。


ゲスト / Guest

  • 佐藤陽一 / Yoichi SATO

    日本 / Japan

    グーグルブックス担当マネジャー / the manager of Google Books

研究テーマ:世界の新聞・メディア

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