会見リポート
2010年09月06日
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ラファエル・ビセンテ・コレア・デルガド・エクアドル大統領
会見メモ
コレア大統領は、エクアドルの政治がコレア政権で安定したことを強調し、均衡のとれた発展をめざすと説明。日本からの投資をよびかけた。コロンビアとの関係では、2008年3月、コロンビアがエクアドル領内のコロンビア反政府ゲリラ拠点を爆撃したため外交関係が断絶した経緯を説明し、年内に大使交換の全面的な外交修復をめざすため10月に外相会談を予定していると述べた。エクアドル東部アマゾン地域のヤスニ(Yasuni)国立公園内にある同国最大規模の油田開発を放棄する代わりに国際社会が環境保全のため経済支援する構想(ヤスニ―ITTイニシアティブ)について、「地球規模の環境保護にとって新しいシナリオとなる」と表明した。ドイツやフランス、チリが支援を検討していることを紹介し、菅直人首相との首脳会談で菅首相が関心を示したと述べ、日本からの支援に期待を示した。ラテンアメリカの地域統合について、これまでのような夢ではなく、グローバリズムの中でラテンアメリカが生き残るための現実であり不可避だ、との認識を示した。
司会 日本記者クラブ副理事長 宇治敏彦(中日新聞)
通訳 丸山啓子
在日エクアドル大使館のホームページ
http://www.ecuador-embassy.or.jp/j/index.html
外務省ホームページのエクアドルのページ
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ecuador/data.html
会見リポート
地域統合は生き残るための現実
伊藤 千尋 (朝日新聞元サンパウロ支局長)
まずは「太平洋をはさむ隣国」である日本との協調関係を唱えた。これに続けたのが、持論である新自由主義批判だ。「わが国ではかつて公共がすべきことを民間に託した。その結果、世界で最も不均衡な大陸である中南米の中でも、とりわけ不平等な社会になった」
だが、「過去の6回の選挙で連戦勝利し、今や政治は安定していると自負する」。だから「安心して投資してほしい」と、実にぬかりない。
質疑の中でまくし立てたのは、南米統合だ。「南米の地域統合はかつて夢だった。今や生き残るための現実だ。我々は共通の未来を指向すべきという考えに至った」と語った。
環境問題では「エクアドルの憲法は自然にまで権利を与えた、世界的に『グリーン』なものだ」と強調した。今、打ち出しているのが、アマゾン地域のヤスニ国立公園に眠る石油の採掘をしない代わりに、開発によって見込める60億ドルの利益の半分を国際社会に補償してもらう、という計画だ。日本にも協力を求めた。
気さくな性格が口調や表情に表れる。スーツの下にネクタイはない。白いシャツには赤や黄色の鮮やかな刺繍が見える。公式行事のさい、いつも着ているものだ。同行の電力・代替エネルギー相が「わが国の先住民の伝統模様なんだ」と隣席から教えてくれた。先住民重視の姿勢を目に見える形で示すパフォーマンスなのだ。
ゲスト / Guest
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ラファエル・ビセンテ・コレア・デルガド / Rafael Vicente Correa Delgado
エクアドル / Ecuador
エクアドル大統領 / President of Ecuador