2010年02月09日 00:00 〜 00:00
桜井正光・経済同友会代表幹事

申し込み締め切り


会見リポート

「自立」こそが日本経済を変える

小池 英二郎 (日刊工業新聞論説委員長)

大きな期待を乗せて船出した鳩山政権も、マスコミ各社の世論調査では支持率の50%割れが常態化している。「政治とカネ」の問題もあるが、外交や経済などで国民が政権担当能力そのものに疑問を持ち始めたからではないか。

経済同友会の桜井正光代表幹事は民主党の地球温暖化防止対策などに理解を示している経済人だが、「選挙に勝つための政権公約と、実際に日本を活力のある国にする政策の間にギャップがありすぎる」と苦言を呈する。消費税論議の前倒しなど現実路線への転換もうかがえるが、国民の漠たる不安は桜井氏が指摘する「ギャップ」にありそうだ。

講演は『民主党の経済政策の評価』『日本経済が回復するために企業が求められているもの』がメーンテーマ。政策では「経験のない新政権を100日程度で評価は出来ない」とした上で、ギャップは「財政的な危機感のない国民生活第一主義の政策」「需要家サイドに偏った経済政策」が生み出していると分析。まず必要なことは「この国のかたち」の明確化と指摘する。

「現在抱えている財政、税制、雇用などあらゆる課題の5年後、10年後の行き着く姿を明確にして、総合的に繋がるようにしていけばよい」と手順も示す。そして、「もっと産業界の声に耳を傾けるように」とくぎも刺す。

一方、企業に対しては官依存からの脱却を説く。恒例の経済3団体の年頭会見で、桜井氏は「企業自らの変革」の重要性を力説、「頑張れ民」とげきを飛ばした。「政府に頼るのではなく、企業自らが需要を喚起せねばならない」というのが持論で、今回の講演も冒頭に「結論は自立」との考えを示した。政治とカネでは「知らなかった責任」に言及するなど多岐にわたるテーマで桜井節を展開した。
 

ゲスト / Guest

  • 桜井正光 / Masamitsu SAKURAI

    日本 / Japan

    経済同友会代表幹事 / Chairman of the Association of Corporate Executives

ページのTOPへ