会見リポート
2009年05月11日
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田畑伸一郎・北海道大学スラブ研究センター教授
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会見リポート
ロシア経済を過度に悲観するな
小田 健 (日本経済新聞編集委員)
だが、教授は過度に悲観的になる必要はないと強調した。危機が進行中はえてして悲観論が優勢になりがちで、それが無難でもあるのだが、そうした傾向に異を唱える見解は新鮮だった。
ロシア経済は昨年秋から急降下、今年第1四半期のGDPは前年同期比マイナス9・5%だった。通貨ルーブル安が進行、株価は暴落した。
今後の見通しも厳しい数字が並ぶ。ロシア政府は今年のGDP見通しを1月にマイナス2・2%と発表したが、4月には一気にマイナス6・0%へ下げた。
これに教授は疑問を呈した。今年2─3月からはルーブルが持ち直し、資本流出や外貨準備の現象に歯止めがかかり、経済に改善の兆しが現れた。「それなのになぜ大幅下方修正なのか」。
教授によると、ロシア経済を左右するのは原油価格とルーブル相場。このうち原油価格は今1バレルあたり40─50ドルで推移している。この水準はロシアにとって「決して悪い数字ではない」。
さらにルーブル安が進んだため今後は輸入代替による成長が期待できる。つまりルーブル安で輸入が減り国内品の競争力が強くなって国内の産業活動が活発になるという見方だ。これに財政出動が加わる。だから「私は楽観的に見ている」。
今回の危機は改めてロシアの原油依存の大きさを浮き彫りにした。教授が講演した日、プーチン首相が大勢の経済人を引き連れて来日し、日本からの幅広い分野の投資を呼びかけた。外国からの投資を経済多角化に役立てたいという思いもこめられているのだろう。
ゲスト / Guest
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田畑伸一郎 / Shinichiro TABATA
日本 / Japan
北海道大学スラブ研究センター教授 / Professor, Center for Slav Studies, Hokkaido University
研究テーマ:ロシア経済の現状