会見リポート
2009年01月22日
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リチャード・クー・野村総研チーフエコノミスト「2009年経済見通し」
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バランスシート不況だ
稲田 好美 (時事通信出身)
あまりに財政出動を力説する議論は、やや“乱暴”に響くが、分かりやすい例を引いての説明は、説得力十分だった。
米国、中国、欧州の三地域が同時不況に沈み、日本も「あまりに外需依存を高めてしまったため、海外悪化の影響を受ける」事態に陥っている。各国中央銀行が揃って金利引き下げに踏み切っているが、「効果なし」なのは、1930年代の大恐慌と共通だそうだ。
資産価格が暴落して負債だけが残り、民間企業は借金返済に走る。ゼロ金利になっても企業は資金の借入ではなく、返済を進める。企業にとっては合理的な選択だが、この借金返済が景気を悪くするバランスシート不況だと説明。「非常に厳しい景気状況が続く」のを覚悟せざるを得ないという。
しかし、「望みがある」。それは「日本が15年前に全く同じ不況を経験した」ことがあり、その「経験」を生かせというのだ。
クー氏によると、日本はバブル崩壊により、資産価格が下落、商業地の地価は87%暴落した。土地と株式を合わせると、国内総生産(GDP)の3倍にも及ぶ1500兆円の富を失った。それでも、日本のGDPはバブル時のピークを下回ったことはない。
それは、「政府が金を借りて使ってくれた。税収は落ちたが、歳出を増やした」─財政出動の効果で、無駄な公共投資だったとの批判は当たらないというのだ。
各国政府が財政出動に踏み切れば、「世界は大恐慌に陥らずに済む」という処方せんだ。
米国でも「最近は財政出動の必要性に理解が深まっている」と、クー氏は指摘していた。
ゲスト / Guest
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リチャード・クー / Richard KOO
台湾 / Taiwan
野村総研チーフエコノミスト / the Chief Economist of Nomura Research Institute
研究テーマ:2009年経済見通し