2008年04月14日 00:00 〜 00:00
ブラニスラブ・カペタノビッチ・クラスター爆弾被害者

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会見リポート

クラスター爆弾はモンスター

佐藤賢二郎 (毎日新聞外信部)

「クラスター爆弾は最も恐ろしい、モンスター(怪物のような)兵器」。不発弾の爆発で手首から先を失った腕を動かしながら繰り返し、「爆弾に『良い爆弾』、『悪い爆弾』なんてない」と全面禁止を訴えた。

旧ユーゴ軍技術者として不発弾処理を続けていた2000年11月、セルビア南部の空港でクラスター爆弾の不発弾が爆発し、両手足を失った。一時は心肺停止状態となったが一命を取り留め、その後20回以上の手術を受けて奇跡的に回復した。

99年当時、北大西洋条約機構(NATO)軍は連日、セルビア各地をクラスター爆弾で空爆していた。「救急車や消防車のサイレンの音、負傷者のうめき声が響き渡る。民家の前に血だらけのシーツをかけられた遺体が横たわり、血だまりができていた。不発弾処理のため、遺体をまたいで庭に入らなければならなかった」。沈痛な表情で振り返った。

クラスター爆弾禁止条約を今年中に作る軍縮運動「オスロ・プロセス」が進み、参加国は5月、アイルランド・ダブリンの国際会議で条約案の合意を目指す。しかし、日本政府は「抑止力として防御的に使うことは評価されるべき」(石破茂防衛相)と保持の継続を表明している。

これに対し「防衛に使えば傷つくのは自国民であり、全くの矛盾だ」と批判。同様に市民が犠牲となる原爆の被害を受けた日本を特別な国だとして「人道上の理由から完全禁止の活動に参加を期待する」と話した。

来日中、祖国の英雄でJリーグ・名古屋グランパスのストイコビッチ監督は「みんなのヒーローだ」と称えた。クラスター爆弾を大量に保持する米露中にとっては逆に、彼はモンスター的存在だろう。車椅子の英雄の武器は実体験に裏打ちされた言葉だけ。その力を改めて教わった。

ゲスト / Guest

  • ブラニスラブ・カペタノビッチ / Branislav Kapetanović

    セルビア / Serbia

    クラスター爆弾被害者 / VIctim, Cluster Bomb

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