2008年04月04日 00:00 〜 00:00
トニー・バーク・オーストラリア農林水産相

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会見リポート

2年連続干ばつで小麦不作

幸内 康 (読売新聞経済部)

周囲の日本人と比べると、遠近感が狂ってしまいそうになるほどの長身。ラッド政権の閣僚中、最年少38歳のバーク氏は、気候変動への対応と農産物貿易の自由化が農業政策の主要課題であることを、穏やかな語り口で強調した。

豪州政府の推計では、世界が地球温暖化対策を何もとらなかった場合、豪州の小麦や牛肉などの生産量は、2030年に現在より9%減少、50年に13%減少し、輸出は50年に品目によっては79%も落ち込むという。

豪州では干ばつにより、2年連続で小麦が不作だった。これが一因で、世界の小麦価格は高騰し、一部の輸出国は自国内の供給を優先して輸出規制を始めている。日本は食料の6割を海外から輸入しており、国内では「お金があれば買えた時代は過ぎ去り、今後、量を確保するのが困難になるのでは」と、食料安全保障上の懸念が強くなっている。

バーク氏は「今まで国際的な契約を守らなかったことはない。厳しい状況でも、長期的な安定的な供給国であることは実証されている」と答えたうえ、生産量確保のため農業技術の改善も進める考えも示した。

一方で、「はっきり申しあげたいことがある」と前置きしたうえ、日豪経済連携協定(EPA)交渉で、米や牛肉などの品目を関税撤廃の対象から除外したいという日本の要求は「受け入れられない」と語った。

ラッド政権はアジア外交では中国に重点を置き日本を軽視している、との見方がある。これに対し、「政権発足から100日あまりしかたっていないが、私で来日した閣僚は5人目」と強く否定した。

バーク氏にとって就任後、日本が最初の外遊先で、記者クラブでの会見も国内外を通じ初めてだったという。

ゲスト / Guest

  • トニー・バーク / Tony Burke

    オーストラリア / Australia

    農林水産相 / Minister for Agriculture, Fisheries and Forestry

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