会見リポート
2006年08月01日
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アレグザンダー・ダウナー・オーストラリア外相
会見リポート
日本と戦略的パートナーシップ
坂口 智 (朝日新聞外報部(元シドニー特派員))
96年のハワード政権発足と同時に職について以来10年余。ダウナー氏は、主要国では最古参の外相だ。
ハワード政権は、対米同盟関係を従来以上に重視し、米欧間にあつれきが生じたイラク戦争でも、一貫して米国を支持した。小泉政権と重なる部分が多い。
ダウナー外相の冒頭スピーチも、まずイラクに言及。ムサンナ州での自衛隊と豪州軍の協力の成功に触れ、「両国間の戦略的関係拡大の表れ」と称賛した。また、「日本が心地よく感じるペースで」と、日本の憲法上の制約に配慮しつつ、「豪州は日本との戦略的パートナーシップを進める用意がある」と述べた。
実際、西太平洋地域で、日豪両国ほどパートナーとしての条件が整っているペアは他にない。両国とも、近接する諸国とは、政治・経済体制や経済的発展度の違い、あるいは歴史的な経緯などによって、難しい関係がある(豪州にとってのニュージーランドをのぞく)。
しかしながら、筆者の会社を含め、日本のマスコミによる豪州報道は不当に手薄いのが現実だ。シドニー特派員経験者なら誰でも同意見だと思うが、例えば、全く同種の事象が起きたとしても、米国で起きたなら大きく扱われるのに、豪州の話だとボツになる。はっきりいってどうでもいい欧州の内政の話が取り上げられる一方で、豪州の動きは無視。「知的怠慢」と言っていいだろう。
なお、レバノンからの豪州人の退避についての質問が出た。紛争前、同国に居住していた豪州人は約7千人で、多数は二重国籍者とみられる。去年12月にシドニー郊外で起きた人種暴動ではレバノン系が一躍注目を集めたが、今回の紛争で、さらに豪州への移民が増えそうだ。
ゲスト / Guest
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アレグザンダー・ダウナー / Alexander Downer
オーストラリア / Australia
外相 / Foreign Minister