2006年01月06日 00:00 〜 00:00
ロバート・フェルドマン・モルガン・スタンレー証券チーフエコノミスト「経済見通し」1

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会見リポート

厳しい条件付き楽観論

伊藤 三郎 (福山大学客員教授(朝日出身))

日本経済はいま、景気回復と財政支出抑制の同時達成へ、という健全な道筋を─昨年に続いて会見シリーズのトップで登場したフェルドマン氏は、正月らしい楽観論を披露。ただ、よく耳を澄ませば、それには厳しい条件が付いていた。

GDP(国内総生産)成長率は2005年度の3・0%(予測)に続いて06、07年度も2%台を維持できる。 IT化の波で設備投資が引き続き高い水準で伸びるからだ。ただし、 株価は好材料がほぼ出尽くし 「少し寂しい(微妙な?)段階」と見る。

そこで、この先デフレ脱却のかぎを握るのが金融政策である。「ゼロ金利」解除後の重要な景気かじ取り策として「今年内にインフレターゲット導入が決まる」と大胆に予測。ただし、日銀単独ではなく、国会、政府と一体で導入を決め、日銀がそれを目安に金融政策を進める「共同インフレ目標」という考え方─予測と言うより政策提言だが、政府・日銀はどう答えるか。

中長期展望に目を移し、高齢化の進む中で生活水準を守る方法は何か、全体として労働参加率を高めるしかないのだが、それは現実には困難と見る。そこで産業界の資本装備率を高める、つまり、機械化IT化の遅れた分野でそれを進めて生産性を高める以外に決め手なし。その分野を具体的に挙げれば、まず医療と農業、それに政府系金融機関、公共サービス……「投資機会は前途洋洋」と氏は説くが、裏返せば今後生活水準を維持するのがいかに難しいかを示唆する分析でもある。

ゲスト / Guest

  • ロバート・フェルドマン / Robert Alan Feldman

    モルガン・スタンレー証券チーフエコノミスト / Chief Economist, Morgan Stanley Ltd.

研究テーマ:経済見通し

研究会回数:1

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