2005年04月19日 00:00 〜 00:00
黒沼ユリ子・バイオリニスト

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会見リポート

音楽談義から深い日本人論まで

中井良則 (毎日新聞編集局次長)

笑ったり、シーンと静まり返ったり。メキシコから一時帰国した黒沼ユリ子さんの話に出席者全員がひきずりこまれた1時間半だった。

「話し出したら止まらないから、ストップかけてね」と、始まる前に頼まれた。だが、地球のあちこちを飛びまわり、歴史を超えて広がる話題が面白く、司会者としてストップの合図がなかなか出せなかった。メキシコ特派員時代、黒沼さんのお宅にうかがう機会もあった。半分ぐらいはメキシコ人になっている(?)黒沼さんは、あのころと同じように楽しく、温かく、私たちをもてなしてくれた。

「音楽は裏切らない伴侶。人間同士は口論するが、バイオリンは一緒に励ましてくれる。絆の強い友人です」「(バイオリンを習いたいという子どもには)本人が音楽好きでバイオリンを弾きたい、と言うまで、生徒は受け入れない。いやいやの子は挫折します」といった音楽談義。「日本は勝ち組の歴史ばかり見ている。敗者の歴史を見なければ」という日本人論。日本、チェコ、メキシコの3つの文化を肌で知ったバイオリニストの観察は深く鋭い。

メキシコ市で子どもたちにバイオリンを教える「アカデミア・ユリコ・クロヌマ」を開いたのは1980年。

25周年の今年7月、メキシコのちびっ子バイオリニスト12人を連れて、日本各地でコンサートを開く。本当は「『25周年記念日本メキシコ友好コンサート』を成功させたい。ジャーナリストのご支援を」と言いたかったのだと思う。

ゲスト / Guest

  • 黒沼ユリ子 / Yuriko Kuronuma

    バイオリニスト / Violinist

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