2004年07月16日 00:00 〜 00:00
ヘンリク・シュミーゲロー・駐日ドイツ大使

申し込み締め切り

会見リポート

アフガンでの実績を強調

森 千春 (読売新聞国際部次長)

2003年のイラク戦争をめぐって、ドイツがフランスとともに開戦に反対して、米国と厳しく対立したことは、記憶に新しい。

日本記者クラブに三回目の登場となったシュミーゲロー大使は「米国と欧州の一部の国の対立はすでに終わった」「独米関係の基盤は傷ついていない」と述べ、両国関係が決定的に悪化したというイメージを払しょくしようと努めた。さらには「ドイツや日本が標榜してきた多国間主義が注目されるようになった」との認識を示した。

大使が、独米接近の表れの一つとして挙げたのが、今年六月の主要国首脳会議(シーアイランド・サミット)で採択された「拡大中東地域」宣言だ。フィッシャー独外相が、二月に開催された恒例のミュンヘン安全保障政策会議で、同地域の安定と発展を欧米が支援する構想を提案したのに対して、米国が理解を示したという伏線があった。

大使は、イラク復興に関して、ドイツは軍隊を派遣していないが、給水施設復旧や警察官教育などで貢献していると紹介した。一方で、ドイツがアフガニスタンには軍を派遣し、兵士の命を失いながらも、治安維持を担い続けている実績に言及して、「ドイツは対テロ戦争の重点をアフガニスタンに置いている」と表現した。

日本において、イラク戦争をめぐる欧米対立が論じられる場合、ドイツをはじめとする北大西洋条約機構(NATO)諸国がアフガニスタンで果たしている役割については看過されがちであり、大使の指摘は重要だ。

ゲスト / Guest

  • ヘンリク・シュミーゲロー / Henrik Schmiegelow

    ドイツ / Germany

    駐日ドイツ大使 / Ambassador to Japan

ページのTOPへ