2004年04月21日 00:00 〜 00:00
植松治雄・日本医師会会長

申し込み締め切り

会見リポート

逆風下での〝植松戦略〟

木村 彰 (日本経済新聞社会部次長)

大阪府医師会長から日本医師会の会長選に立ち、小泉政権の医療制度改革への批判票を集めて大差で当選した。組織力低下や医療不信の高まりなど逆風下で登板する「日医の新しい顔」は何を考え、小泉改革とどう対峙していくのかは関係者ならずとも関心が高い。

「国民の信頼を得ることが、国の政治を動かす力となる」と強くにじませたのが「国民とともに歩む医師会像」。その原型として、三年前、医療費の自己負担引き上げに反対する集会を企画し、市民団体などと大阪城ホールに二万人を集めた〝実績〟を披露した。

「自浄作用」の真価が問われる医療事故対策では、「国民に安全で安心できる質の良い医療を提供することが最も大切」と述べたうえで、今年度内にリピーター医師を処分する制度を設ける考えを明らかにした。

日本歯科医師会の汚職事件に絡んで浮上している中央社会保健医療協議会(中医協)の見直し論については、「診療報酬の枠を決めるのは政治レベルの話で、中医協は診療行為ごとの配分に徹するべき」と指摘。その上で、患者代表の委員を加えるべきだとの意見には、「議論は専門的で、役割を果たせるかどうか疑問」と消極的な姿勢を示した。

また、診療報酬のマイナス改訂で噴き出した政党支持問題でも「予算の決定権は与党が握っており、自民党を最大のターゲットにして運動するのは当然」と言い切る。原則を維持しつつ新基軸を打ち出して組織の立て直しを図る「植松戦略」の輪郭が垣間見えた。

ゲスト / Guest

  • 植松治雄 / Uematsu Haruo

    日本 / Japan

    日本医師会会長 / President, Japan Medical Association

ページのTOPへ