2016年02月26日 16:30 〜 17:30 9階会見場
トゥビアナ 仏気候変動交渉担当大使(COP21特別代表)

会見メモ

2015年12月の国連気候変動パリ会議(COP21)で特別代表を務めたローレンス・トゥビアナ氏が会見し、記者の質問に答えた。
司会 ヴィーラント・ワーグナー 日本記者クラブ企画委員(独シュピーゲル誌)
通訳 森岡幹予(サイマル・インターナショナル)


会見リポート

パリ協定の発効を2018年中にと見通す

井田 徹治 (共同通信社編集委員)

2020年以降の国際的な地球温暖化対策の枠組みに合意し「歴史的」と評価された昨年の気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)。議長を務めたフランスのファビウス前外相の特別代表として合意に大きく貢献した。

 

産業革命以来の気温上昇を2度未満にし、可能な限り1・5度に近づけることを目指して全ての国が排出削減に取り組むことなどで合意したパリ協定について「会議前には誰もが予想もしなかったような野心的な合意ができた」と胸を張った。

 

気候変動研究の専門家として国際交渉などへの知見は豊富で、それを武器に14年の代表就任以来、各国を飛び回り、合意に貢献した。

 

パリで高まったモメンタムを維持し、成立したパリ協定の発効への道筋を付けることが次の大きな課題で、中国と米国という2大排出国の動向がそれを左右する。

 

記者会見では、国際会議出席のために来日する前に北京を訪問して関係者と会談した、との最新のニュースを紹介。「中国は来年中に、早ければ今年中にも批准ができるのではないか」と述べ「米国では大統領選挙の結果が不透明だが、多くの企業が合意を指示しており、協定は18年中にも発効させられるのではないか」との見通しを示した。「09年のコペンハーゲンの締約国会議の失敗にもかかわらず、各国が積極姿勢を失わず、合意にこぎ着けた。温暖化対策の取り組みは着実に前に進んでいる」ことを確信していると語った。

 

記者会見でもインタビューでも常に明確に答えてくれるのが氏の持ち味だ。大幅な温室効果ガスの排出削減が進む中、日本では排出量が多い石炭火力発電所の建設が進む現状を問われ「日本政府も大幅削減を約束したのだから、発電所の寿命が来る前に再生可能エネルギーでの置き換えを迫られることになるのではないか」と警告することを忘れなかった。


ゲスト / Guest

  • ローレンス・トゥビアナ / Laurence Tubiana

    フランス / France

    気候変動交渉担当大使(COP21特別代表) / Special Representative for the 2015 Paris Climate Conference

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