2016年02月22日 15:40 〜 16:40 10階ホール
内堀雅雄福島県知事 「3.11から5年」⑧

会見メモ

福島県の内堀雅雄知事が会見し、記者の質問に答えた。
司会 瀬口晴義 日本記者クラブ企画委員(東京新聞)


会見リポート

震災5年 トップセールス繰り広げる

清水 正樹 (フジテレビ報道番組部長)

「光と影が混ざり合った状態」。内堀氏は福島の現状をこう総括した。「ため息をつきたくなることも正直ある」という。震災当時は副知事として、おととしからは知事として福島の復興のため奔走している人の言葉として重く受け止めた。

 

内堀氏は積極的なトップセールスを繰り広げている。去年はミラノ万博、今年1月にはスイスのダボス会議で福島の復興をアピールした。県民の評価も高く、知事支持率は70%を超える。

 

内堀氏が指摘する福島が抱える課題のひとつが「ふたつの風」、風評と風化だ。海外では今も福島の全域が避難区域になっているとの誤解すらあると嘆く。会見の2日前には、韓国で予定されていた復興イベントが突然中止となったばかりだ。誤解や無関心を乗り越え、正確な情報を伝えることはまことに難しい。例えば福島県産のコメは全袋検査をした上で出荷されるが、検査された昨年産のコメ計1030万袋のうち基準値以上の放射性物質が検出されたのは何袋だったか知っている人はどのくらいいるだろうか? 答えはゼロである。われわれの脳裏に焼き付けられたイメージが、事実の正確な理解に及ぼす影響は実に大きい。内堀氏が風評被害について、「特効薬はない。福島の『光と影』の両方を地道に伝えていく」と語るのを聞いて、何とも切なかった。あらためて、福島第一原発事故の罪の重さを憤らずにはいられなかった。

 

さて震災から5年の今年、福島県はもっと「光」の部分をアピールしてみたらどうだろうかと思う。毎年、私は福島を訪ねているが福島は良い所だ。内堀氏が売り込んでいた通り、いい湯に浸かってうまい酒をいただくのも良し。4月からは福島の観光キャンペーンが始まるという。多くの人が普通に福島を訪れるようになれば風評被害など恐れるに足りず。福島には胸を張ってアピールするに値する多くの宝があるのだから。


ゲスト / Guest

  • 内堀雅雄 / Masao Uchibori

    日本 / Japan

    福島県知事 / Governor, Fukushima Prefecture

研究テーマ:3.11から5年

研究会回数:8

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