2016年01月22日 10:30 〜 11:30 10階ホール
カレ 国連フィールド支援担当事務次長 会見

会見メモ

PKOなど国連ミッションを後方から支える「フィールド支援」を担当するアトゥール・カレ事務次長(兼フィールド支援局長)が会見し、記者の質問に答えた。
司会 土生修一 日本記者クラブ事務局長
通訳 西村好美(サイマル・インターナショナル)


会見リポート

国連PKO 日本に期待する貢献とは?

津屋 尚 (NHK解説委員)

国連フィールド支援担当事務次長に就任してから初めて来日したアトゥール・カレ氏。日本に滞在した3日間、菅官房長官をはじめ政府高官との会談のほか、道路や橋の復旧や建設にあたる部隊を教育する「陸上自衛隊施設学校」の視察など、分刻みの日程をこなしたという。

 

折しも日本は安全保障関連法が成立し、国連の平和維持活動についても、いわゆる「駆けつけ警護」などの新たな任務が自衛隊に付与されることになる。そうした中で、国連でPKOのミッションを支援する部門のトップは日本に対してどのような期待を持っているのか、それが確かめたくて記者会見に参加した。

 

会見の冒頭、カレ事務次長は、東ティモールや南スーダンなどで日本がこれまで行ってきた活動を高く評価してみせ、貢献に感謝の意を表した。「現場の活動ではどの国の部隊でも兵士たちの規律違反が頻発するものだが、日本の自衛隊はそうした例は一度もない。規律を保つノウハウを他国にも伝えてほしい」などと日本を持ち上げる発言も目立った。カレ事務次長が日本に一層の貢献を求める具体例として挙げたのは、日本がすでに最大の拠出をしている地雷除去活動のための財政支援を増額すること、PKOに派遣されるアジアやアフリカ諸国の部隊を教育する「能力構築支援」などだった。

 

最後にフロアから、「駆けつけ警護」など自衛隊のPKOでの任務が拡大されることについて問われると、「国連は加盟国の国内立法の問題についてはコメントしない」と前置きした上で、「どの国の活動であれ、平和維持に参加している要員の安全を高め、平和に貢献するならば歓迎する」と述べた。さらに、アフリカ各地の平和維持活動の現場では、必要物資の補給ルートが過激派武装勢力から攻撃を受けるなど、任務の危険が増していることも明らかにした。自衛隊が今後直面するかもしれない現場での困難を少し予感させた瞬間だった。


ゲスト / Guest

  • アトゥール・カレ / Atul Khare

    国連 / UN

    フィールド支援担当事務次長(フィールド支援局長) / Under-Secretary-General for Field Support

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