2015年07月23日 12:00 〜 13:30 10階ホール
程永華 駐日中国大使 昼食会

会見メモ

中国の程永華大使が会見し、記者の質問に答えた。
司会 伊藤芳明 日本記者クラブ理事長(毎日新聞)
代表質問 島田敏男 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

「日本は仮想敵国ではない」日中関係改善に腐心

坂東 賢治 (企画委員 毎日新聞論説室専門編集委員)

2010年4月の着任直後、13年4月の習近平体制発足直後に続く3度目の会見だった。戦後70年を意識しつつ、改善の軌道に進み始めた日中関係を何とか安定させたいという思いがにじんだ発言が目立った。

 

1つは「好むと好まざるとに関わらず、隣国同士は引っ越しできない」という発言だ。地理的条件は変えられないのだから、けんかをしてばかりはいられないという基本認識だろう。

 

中国からの訪日客が日本で買った商品に「メイド・イン・チャイナ」が多いという指摘もあった。ブランドは日本でも生産地は中国という場合が少なくないらしい。中国製品に日本製の部品が使われ、その逆もある。それだけ日中の経済関係が緊密化していると強調していた。

 

戦後70年の歴史認識問題では「侵略戦争の責任を明確にし、誠意を持って反省するよう求めている」とクギを刺す一方で、「戦後、平和国家としての歩みを堅持し、世界の平和と安定に貢献してきた」と日本の戦後の歩みを積極的に評価するバランス感覚を見せた。

 

「専守防衛政策が変わるのではないとの疑念がある」と安保法制への懸念を率直に示しながらも、中国側には「日本を仮想敵国にしようという考えは毛頭ない」と明言した。

 

会見前日、東シナ海に中国が増設したガス田関連施設の写真が公表されたことで参加した記者の関心はこの問題に集まった。「日本から異を唱えられる余地はない」と正当性を訴えながらも「中国側は抑制した態度を取っている」と事態の拡大を望まない姿勢だった。

 

通算の日本勤務が20年という中国きっての日本通。これまで2回の会見と同様に通訳なしで全て日本語でやりとりをこなした。大使としての5年間を振り返って「七転び八起き」と表現しながら「結局は起きているのだから良いことですが」と笑いを取るあたりに日本語能力の高さや人柄がうかがえた。


ゲスト / Guest

  • 程永華 / Cheng Yonghua

    中国 / China

    駐日大使 / Ambassador to Japan

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