2013年02月06日 16:00 〜 17:00 10階ホール
グテレス 国連難民高等弁務官 記者会見

会見メモ

グテーレス国連難民高等弁務官が、シリアやマリなどでの紛争で増え続ける国内避難民や難民情勢などについて話し、記者の質問に答えた。

司会 日本記者クラブ企画委員 杉田弘毅(共同通信)

同時通訳 長井鞠子 吉國ゆり(サイマル・インターナショナル)

UNHCR駐日事務所のホームページ

http://www.unhcr.or.jp/html/index.html


会見リポート

「支援疲れ」は難民救済の大きな危機

「支援疲れ」という言葉が聞かれて久しい。冷戦後地域紛争が顕在化した1990年代初め以来、湾岸戦争、旧ユーゴスラビア紛争、ルワンダ紛争と大量の難民の出現に国際社会は驚き支援に走った。やがて難民の悲惨な生活を知っても慣れ性になり、財布にも限りがあるからと難民支援への関心が薄れていく。「支援疲れ」とはそんな状況を指す。

グテレス国連難民高等弁務官は「支援疲れ」こそ、難民支援の大きな危機であると強調した。90年代の難民大量発生は、年に1回、あるいは数年に1回の大ニュースだったが、昨年はシリア、マリ、南スーダンなど8つの危機が同時進行しメディアは報じ切れなかった。

しかも、グテレス弁務官が言う「難民発生の根本原因」である紛争の解決が難しい。アフガン育ちのイスラム過激派がソマリアやイエメンに流れて戦い、今はマリに集結している。政治解決があればこそ国際的な支援も実るが、こうした戦士が各地を流浪し紛争を起こすとなれば、民族和解など不可能だ。

グテレス弁務官はポルトガルで首相も務めたが、出身地域欧州には厳しかった。欧州人の「外国人嫌い」「移民制限」に触れ、「異なる民族と一緒に暮らすことを嫌っていては、難民の受け入れは難しい」という。

シリアでは76万人の難民が発生し、隣国のトルコとレバノンは積極的にシリア難民を受け入れる国境開放政策を取る。こうした寛容な政策は途上国に多い。「もっと多くの国でこうした政策をとってほしい」との訴えは、欧州だけでなく難民受け入れに消極的な日本には耳が痛い。

国家が破たんし難民が発生した国の復活には何が必要だろうか。・国際社会の積極的支援・若者の雇用創出など経済政策・民主主義と法治主義の確立─が欠かせないと言う。だが、今世界の破たん国でその兆しが見えるのはいくつあるだろうか。


企画委員 共同通信編集委員 杉田 弘毅

ゲスト / Guest

  • アントニオ・グテレス / António Guterres

    国連難民高等弁務官 / UN High Commissioner for Refugees

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