2013年01月23日 14:00 〜 15:30 10階ホール
冨田哲郎 JR東日本社長 記者会見

会見メモ

JR東日本の冨田哲郎社長が、昨年10月に発表した中期経営計画を受け、「『地域再生』と『鉄道の進化』に向けた挑戦」と題して話し、記者の質問に答えた。

司会 日本記者クラブ企画委員 小此木潔(朝日新聞)

JR東日本のウェブサイト

http://www.jreast.co.jp/


会見リポート

発展のカギは安全・改革・地域貢献

森 一夫 (日本経済新聞特別編集委員)

昨年4月に清野智会長に代わって、副社長から社長に昇格した。冒頭「昭和49年に入社した国鉄で13年仕事をして、JRになって早いもので26年になります」と、自らの鉄道マン人生を振り返った。
 入社2年目にスト権ストがあり旧国鉄の職場規律の乱れを体験している。JRを生んだ国鉄改革の目的を「鉄道の再生と復権」ととらえ、「私で5人目の社長ですが、まだ道半ばだと思います」と言う。
 しかし今や面目を一新し、JR東日本は大学生の就職人気調査では常に上位にある。復元した東京駅の丸の内駅舎は東京の新名所である。
 これからどうするかが今回のテーマで、昨年10月にまとめた「経営構想」を中心に語った。まず強調した「究極の安全」は鉄道事業の生命線である。さらに「サービス品質の改革」や「地域への貢献」は、JR東日本グループ発展の鍵を握る。
 同社の強みは人口が集中する首都圏を市場として押さえている点だ。「収入の70%は首都圏100・圏内の在来線を利用する人たちからのもの」と言う。しかし少子高齢化によって、安閑としてはいられない。より多く利用を促し、遠距離乗車を増やす工夫が求められている。
 「観光を振興して各地域の再生に貢献したい」。さらに「駅を中心にした街づくりを進めていく」と意欲的である。いずれも結果的に同社の利益に結びつく。こうした経営感覚が出てくるようになったのも、分割民営化による成果といえる。
 ただし、やり方によっては問題が起きる。例えば駅ナカでの小売業や飲食業の拡大は、度を越せば駅への消費者の囲い込みととられる。「民間企業だから黒字は至上命令ですが、インフラとしての役割をきちんと果たしたい」。その言葉をぜひ守ってほしい。

ゲスト / Guest

  • 冨田哲郎 / Tomita Tetsurou

    日本 / Japan

    JR東日本社長 / President, JR-EAST (East Japan Railway Company)

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