2012年11月09日 10:30 〜 12:00 10階ホール
研究会「権力移行期の世界 ⑨ 米国」 中山俊宏 青山学院大学教授

会見メモ

青山学院大学の中山俊宏教授が、アメリカ大統領選におけるオバマ再選の勝因、二期目の優先課題や行政運営などについて話し、記者の質問に答えた。

司会 日本記者クラブ企画委員 杉田弘毅(共同通信)

中山教授のホームページ

http://www.tnak-lab.sakura.ne.jp/main/home.html


会見リポート

オバマ路線への反動が来る?

杉田 弘毅 (企画委員 共同通信編集委員)

接戦と言われたわりには選挙人数で332対206という大差がついて、バラク・オバマ米大統領が再選を果たした。「完勝」の理由は、徹底した組織選挙、オバマ氏の好感度、そして女性やヒスパニック、若者など、「白人中高年男性」以外の票がオバマ氏に流れたと分析した。米政治を長年研究してきただけあって、その解説は実に詳細、明解だ。

初めて全体の1割を超えたヒスパニック票は今後も増えるが、彼らは移民に厳しい共和党に背を向ける。女性や若者の民主党好みも続きそうだ。中山教授が言う「民主党は新しいアメリカに親和性を持つ」わけだ。

共和党の前途は暗い。しかも、次回2016年の大統領選ではヒラリー・クリントン国務長官が「民主党の筆頭候補」となると言う。初の黒人大統領に続いて初の女性大統領を選ぶという夢のストーリーは4年に一度のお祭りである大統領選を否が応でも盛りたてる。

もし民主党大統領が3期続けば、「米国の2大政党制の崩壊」といった性急な見方も生まれそうだ。「どうする共和党」に関心が集中する。

穏健派のミット・ロムニー氏の敗北で、共和党内では「真正保守」を求める声も出る。この動きに「共和党は政党としての本能が生き残りを求めていくはず。右旋回を止めなければ、2大政党制が壊れ、それは米国にとって良くない」と心配する。

思い起こせば、1980年代のレーガン革命、90年代の保守革命、そしてブッシュ政権では「共和党が永久に多数派を握る」と語られ、民主党にも雌伏の時代があった。

オバマ氏の大きな政府路線への反動は米国でやがて大きな波となるだろう。「共和党にも若いヒスパニック議員や知事ら良い政治家がたくさんいます」と期待をかけた。


ゲスト / Guest

  • 中山俊宏 / Toshihiro Nakayama

    青山学院大学教授 / Professor, Aoyama Gakuin University

研究テーマ:権力移行期の世界

研究会回数:0

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