会見リポート
2011年12月22日
12:30 〜 14:00
10階ホール
前原誠司・民主党政策調査会長
会見メモ
会見リポート
厳しい環境、問われる実績
川上 高志 (共同通信論説委員)
野田政権で政策決定の「事前承認」という大きな権限を持った政調会長。「ポスト野田」の有力候補である前原氏は民主党内の調整、野党との協議の最前線に立ち、真価が問われる局面が続く。この日の記者会見でも、理路整然とした政策発言の一方、その「実現度」が問われる現状を自覚する言葉が印象に残った。
「自分自身が言葉に出して、自分を追い込むことがある」「発言することで環境的変化が起こることもある」。前のめりの発言が目立つ自らの手法をこう説明。「私が言ったことで、やれていないことは何があるのか。八ツ場ダムだけだ」と強調した。
だが民主党のマニフェスト(政権公約)は総崩れの状態だ。この日、前田国土交通相が八ツ場ダムの建設再開を表明、「コンクリートから人へ」の公約を覆した。「せっかく政権交代したのに哲学を変えきれていない」と前原氏は指摘した。ただ前原氏自身も高速道路無料化やガソリン暫定税率廃止について「そもそもマニフェストとしていかがなものだったのか」と疑問を呈し、公約にない消費税増税や武器輸出三原則見直しの必要性に言及した。民主党は政策の総点検が必要だ。
前原氏を「ポスト野田」候補と認めるからこそ、自民党も標的にするのだろう。政調会長レベルでの与野党協議は前進しない。公務員給与の引き下げや郵政改革の取り扱いなどを通常国会前に野党と話し合う考えを示したが、展望は開けていない。前原氏を取り巻く環境、視線は厳しい。
「政権与党は打ち上げるだけでなく、しっかりとフォローアップしていくことが大事だ」と前原氏は強調した。その通りだろう。政権与党の責務を果たす実行力と周囲を納得させる実績が、首相を目指す前原氏には求められている。
ゲスト / Guest
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前原誠司 / Seizi MAEHARA
日本 / Japan
民主党政策調査会長